『新世紀エヴァンゲリオン』にはいくつもの謎が散りばめられていますが、40代の「碇ゲンドウ」司令と、彼より一回りは年上と思われる副司令「冬月コウゾウ」が、お互いを呼び捨てで呼び合う人間関係も謎の1つではないでしょうか。碇は年上を、冬月は上役を役職名抜きで呼び、互いにそれを許しているのですから。今回は、そんな「冬月コウゾウ」の魅力についてご紹介いたします。


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冬月コウゾウとは?(新世紀エヴァンゲリオン
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【※一部、ネタバレの内容を含む可能性が御座います。ご注意下さい。】


■声優からキャラクターをデザインした「リバースエンジニアリング」の効果

 「冬月コウゾウ」は、恐らくネルフ内最年長ながら、その渋い外見と落ち着いた言動から女性ファンも少なくありません。外見・容姿は何と、この役の声優「清川元夢」さんをモチーフにされているとの事(ナディアガーゴイルの素顔も清川さんにそっくりですが)。作中のコウゾウのセリフの圧倒的なフィット感は、「清川元夢」さんの演技はもちろん、キャラクターが声優から造形されたという、いわゆる「リバースエンジニアリング」の成功とも言えるでしょう。

■届かぬ思いの末に

 常に冷静沈着な決断を下し、「碇ゲンドウ」の真の目的を知る同志として彼とネルフを支え続けた「冬月コウゾウ」。実は、「碇シンジ」の母親「碇ユイ」への秘められた思いもありました。碇と冬月は、「もう一度ユイに会いたい」という目的においても同志であった訳です。

 旧劇場版「Air」において、セントララルドグマに向かうゲンドウに対し、「ユイ君によろしくな」と声をかけ、ゲンドウも「冬月先生」と呼ぶくだりは、二人がネルフ設立の原点の人間関係に戻った事を示唆しています。そして、補完される直前に冬月が見た幻影はやはりユイ。「碇、君もユイ君に会えたのか?」が彼の最後の言葉であり、その表情はとても満ち足りたものでした。

■将棋を指す事の意味?

 新劇場版「Q」では、シンジと将棋を指す場面が見られます。将棋を指しながら彼はシンジに様々な話をし、最後に「年寄りの趣味に付き合ってくれてありがとう」と言います。岡田斗司夫氏によると、アメリカの映画で大人と少年がキャッチボールをするのは父子関係のメタファーであり、この場合これが将棋にあたるのでは?という論を展開されています。新劇場版は、旧世紀版とはキャラクターや人間関係に大きな違いも見られ、もしかするとシンジの父親は・・・などという推測も(あくまで推測です)。もはや結末の予測がつかない新劇場版ですが、「冬月コウゾウ」と「碇シンジ」の関係も気になるところです。


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★記者:ルーデル(キャラペディア公式ライター)

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