海外からギモンの声

 皇族数の確保を目的とした皇室典範の改正案が参議院本会議で可決・成立した。今回の改正により、女性皇族が結婚後も皇室に残ることなどが可能となったが、高市総理らがこだわる「皇位継承資格は男系男子のみ」という制度は維持された。これに、海外メディアからは「なぜ愛子さまが天皇ではダメなのか」という素朴な疑問の声が相次いでいる。

【映像】「そこまでして男子にこだわるの?」海外からギモンの声

 ニュース番組『わたしとニュース』では、この問題を自身の番組で取り上げたイギリスBBC初の日本人キャスター・大井真理子氏のインタビューを交え、法学者の谷口真由美氏らと共に考えた。

「そこまでして男子にこだわるの?」海外から見た“違和感”

大井真理子キャスター

 番組では、日本の皇室典範改正について報じる海外メディアについて紹介。イギリス・BBCでキャスターを務める大井氏は、自身の番組でこの話題を取り上げたきっかけについて振り返る。

「愛子さまが天皇になれない一方で、旧皇族からの養子を迎え、もしその方に男の子が生まれたら皇位継承権が行くという議論に対して、『そんな制度なら潰してしまえ』という意見をSNSでいくつか見かけた。イギリスでは王室廃止論も一定数あるが、日本でそういう意見が出るのは珍しいと思い、驚いた」(大井氏)

 大井氏は、日本の皇室典範の改正について、海外での一般的な受け止め方について、「愛子さまには皇位継承権がなく、もの凄く遠い親戚である旧宮家からの養子を入れてまで男子を確保しようとすることに、海外からは『えっ、そこまでして男子にこだわるの?』『なぜ愛子さまじゃだめなの?なぜ女性だとダメなの?』という、本当に素朴な疑問が多く聞かれる」と語った。

「不思議の国ニッポン」法学者が指摘…イギリス王室との決定的な違い

海外からギモンの声

 番組内では、ヨーロッパなど海外の王室との違いにも注目。オランダを公式訪問された天皇皇后両陛下が再会した愛子さまと同世代のアマリア王女は、現在王位継承権1位。海外の王室では、男女の区別なく長子が王位を継承する国も多い。

 この現状について、谷口氏は、「『不思議の国ニッポン』と見られていることには間違いない、伝統ってなんですか?っていう話なんですよ」と指摘。日本の皇室典範がかつてイギリスの「ロイヤルアクト(王位継承法)」を模倣して作られた歴史に触れ「本家本元であるイギリスは、ウィリアム王子の結婚を機に、女の子であれ男の子であれ、第一子に第1位の継承権を持つように(王位継承について)現代的な改正を行った。お手本にしていたイギリスが時代に合わせて変えているのに、日本は『うちは関係ない』という態度を取っている。都合のいい解釈しているように見えてしまう」と苦言を呈した。

 さらに谷口氏は、日本も批准している「女性差別撤廃条約」にも言及。「この条約には『伝統や慣習の名のもとに差別を温存してはならない』(条約第2条・第5条)という規定があり、国連女性差別撤廃委員会からも日本の皇室典範における男系男子継承についても懸念が示されている。それを完全に無視するような態度は、国際的な条約を日本が守らないという意思表示とも取られかねない。日米安保条約も関税条約も女性差別撤廃条約も、国際的な条約という意味では同じ」と、日本のちぐはぐな姿勢が国際社会に与える印象に懸念を示した。

「伝統か、男尊女卑か」海外メディアが指摘する皇室典範改正に潜む性差別問題

海外からギモンの声

 大井氏のBBCの番組では、日本の皇室典範改正の議論が単なる「伝統の維持」なのか、それとも「男尊女卑やジェンダーの偏見」なのかという問いを提示。

「男女差別の問題は改善していかなくてはならない中で、皇室の議論になるとどうしても『女性差別』『男尊女卑』という単語が出てきて、それを今なお議論しなくてはいけないのかと痛感した。伝統とは一体誰が定義を決めるものなのか、ただ伝統を守るというだけの議論ではないはず」

 海外からは「不思議な国ニッポン」と映る“男系男子”へのこだわり。時代や国際基準と逆行するかのような今回の法改正は、日本の根強い家父長的社会の象徴として、世界の注目を集める結果となっているようだ。(『わたしとニュース』より)

「なぜ愛子さまじゃダメなの?」海外からの素朴な疑問…BBC初の日本人キャスターが指摘する「男子へのこだわり」に潜む日本のジェンダー問題