
年々、厳しさを増す地球の夏。ダイキン工業が7月21日に発表した調査結果によると、世界12都市に住むエアコン利用者のうち86.5%が「5年前より熱くなった」と実感し、89.9%が「暑さによる身体の不調」を経験していたという。
労働の現場でも暑さ対策は大きな課題。2025年6月に施行された改正労働安全衛生規則によって労働者の熱中症対策が企業の法的義務になった。東京ビッグサイトで開催された「猛暑対策展」(7月15~17日)でも工場や倉庫の熱中症対策に用いられる巨大な送風機や空調設備が多く出品されていたが、中でも異彩を放っていたのが、朝日機器ブースの「FOLLOAS(フォロアス)」だ。
「ロボット空調」というキャッチフレーズの通り、天井から下がった大きな筒状の吹き出し口が自動で向きを変えながら、下にいる作業員に風を当て続ける。
朝日機器の小佐野紀章さん(執行役員、営業技術部長)によると、FOLLOASを開発したのは空調設備や塗装設備を手掛ける大気社(東京都新宿区)で、朝日機器は販売を担当しているという。「自動認識の有効範囲はノズルを中心に直径5m。カメラで撮影した画像から作業員の頭の形を認識し、2軸の駆動モーターで吹き出し口を動かします」。
なぜ、わざわざ吹き出し口を動かすのか。理由は、大きな工場や倉庫では空間全体を冷やすより、作業員の周囲をスポットクーラー的に冷やすほうが効率的な場合も多いため。例えば倉庫の搬出ヤードのように周囲を壁で囲うことができない場所や、広さに対して作業員が少ない場所などで空調コストを抑えつつ効果的な熱中症対策となるのがメリットだという。
実際にFOLLOASの守備範囲に足を踏み入れてみた。見上げると正面に大きな吹き出し口。カメラの横に緑色の明かりが見えたので、さっそく捕捉されたようだ。そこから前後左右に動いても、FOLLOASはしっかり追従して上から風を吹きつけ続ける。かなり涼しい。
FOLLOASは作業員が急に移動した場合でも、“小走り”程度なら難なく追従する。また有効範囲から作業員が出てもすぐに初期位置には戻らず、約20秒はそのまま待つ。作業員が部品や工具をとってすぐに戻ることも多いからだ。
朝日機器によると、FOLLOASは24年11月に販売を開始し、すでに2000台近く売れているという。価格は吹き出し口単体(空調機器なし)で69万8000円。また今回はダイキン製の業務用エアコンを一体化して既存の空調設備やダクトがない場所にも導入しやすい「ユニット型FOLLOAS」を初披露。組み合わせるエアコンによって150~200万円で販売する予定だ。
●50m先まで冷風を届ける巨大スポットクーラー
山善ブースで見つけたのは、大風量スポットクーラー「COOL REVOLUTION」(AP80D-YZS-30A)。定格処理風量で最大100m3/minという大風量で、約50m先まで冷風を届けられる。大人2人分ほどの大きさ(幅1185mm、高さ1815mm)があるのにキャスターで移動できるのも特徴だ。
内蔵のエアコン機能はドレンポンプ内蔵で排水管を設ける必要がない。背面から出る排熱を逃がす手段さえ用意できれば、様々な場所で利用できる設置の容易さも手伝い、今年3月の発売以来、「一般的なスポットクーラーよりも風量が必要な現場で導入されている」という。
例えばコンテナから荷物を運び出す現場では、長いダクトを付けて冷風をコンテナ内に直接送り込むことで、従来のスポットクーラーでは不可能だった“大型コンテナの内部を1台で冷やす”ことができるようになった。暑さによる作業員の疲労が軽減された他、空気が循環し続けることで感染症対策にもなったという。
さまざまなアイデアで現場の作業員を冷やす業務用空調機器。矢野経済研究所は、その市場規模は23年度実績の4831億円から、30年度に5668億円まで拡大すると予測している(出典:矢野経済研究所)。

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