
歯の治療の際に使用する麻酔で、逆に苦しみました。
61歳の女性です。今、近くの歯科医で歯の治療を始めたのですが、だいぶ悪いらしく、奥歯をいくつか抜かなければならなくなりました。
注射で局所麻酔をして、さらに鼻からも麻酔薬を吸入する形で歯を抜こうとしたのですが、麻酔で意識がもうろうとする中、心臓がどきどきして呼吸も止まりそうになり、このまま死んでしまうのではないかと思うほど苦しみました。
なんとか一本目の歯は抜けましたが、その後怖くなり、歯医者に行っておりません。
今回初めて麻酔を体験したのですが、麻酔とは全てこういうものなのでしょうか。このまま歯の治療を続けてよいものか、アドバイスください。
緊張による迷走神経反射か
心配なら救急対応できるところで治療を
今回は歯科治療における麻酔についてのご質問です。
抜歯はかなり傷みが伴いますので、通常は麻酔を使うことになりますが、麻酔の方法にはいくつかあります。
歯科治療の麻酔で一般的なものは局所麻酔と呼ばれるもので、注射を使い歯の根元に麻酔薬をうつ方法です。それ以外にも麻酔薬を静脈投与して少し眠らせる方法や、今回の方のように、吸入による麻酔で意識を少し低下させ、痛みに対する感覚を鈍くするという方法もあります。また、さらに大掛かりな手術の場合には、開腹手術や開胸手術などを行なう時と同じ、全身麻酔を実施することもあります。治療の仕方によって麻酔の方法も変わりますし、各々の病院の麻酔の設備や体制にもよって実施の仕方が異なることがあるのです。
ご相談者の場合、麻酔の際に非常に苦しんだという話ですが、確かに麻酔というのは様々な副作用・合併症を起こすことがあります。一番多く使われる、歯の根元に局所麻酔を実施する方法でも、非常に稀ですが麻酔薬に対してアレルギー反応を生じ、血圧が下がったり、時には命の危険に陥るなどの症状が出ることもありますし、このようなアレルギー反応が起きるかどうかを100%事前に把握することは難しいのが現状です。
しかし今回のような、不安を感じたりドキドキするというような症状の場合、麻酔の副作用で起きる可能性も否定はできませんが、過度の緊張や恐怖感によっても同様の症状が出ることもありますし、また迷走神経反射と呼ばれる全身の神経の反射によって血圧が下がったり気分が悪くなったりもします。人によっては過呼吸を起こし、手がしびれたりドキドキしたりすることもあります。今回の症状が麻酔から引き起こされたものなのか、あるいはそれ以外で起きたものなのか判断をする必要があります。
いずれにしても歯の治療は続けなければなりません。その際に同じ麻酔の方法で行えば、同じ症状が再び起きる可能性がありますので、次回は麻酔の方法を変える必要があるかと思います。たとえば鼻からの吸入はせず、局所麻酔だけで行なうということも出来るかもしれません。
麻酔というのは外科的な処置を実施する上で大変重要な技術であり、その歴史をみても、麻酔の発展によって現在のような手術が行えるようになったといっても過言ではありません。しかし時には命にかかわるような事が起きることも事実でありますので、慎重に対応をする必要があります。
とくに重要になるのは、何らかの合併症が起きた時に救急対応ができるかどうかです。そういった意味でも、麻酔で何らかの副作用的な症状を経験された方の場合には、万が一の場合の救急対応がしっかりできるところで治療を継続することが望ましいかと思います。
一度、大学病院などで今回の麻酔の状況を相談し、そのうえで治療をお願いしてみてはいかがでしょうか。


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