中国で働く日本人駐在員が、現地当局に次々と拘束される異常事態が続発している。富士電機社員2名の拘束が報じられた直後、複数の日本人が同様に身柄を押さえられていた事実が浮上した。中国分析に高い評価を持つ専門家は、この連鎖が単なる治安案件ではなく、日本政府に対する“政治的圧力”として周到に仕組まれたものだと指摘する。

 なぜ今、日本人が狙われるのか。背景にあるのは、高市早苗政権への露骨な揺さぶりだ。高市首相が台湾情勢に言及した答弁に、中国政府は激しく反発し、撤回を要求。しかし日本側が拒否すると、中国は日本人駐在員の拘束という“人質外交”に踏み切った。発言撤回を迫ると同時に、国内の強硬派に対して「中国は譲らない」という威信を示す狙いが透けて見える。だが、日本側も一歩譲れば政権の命取りになりかねず、両国は出口の見えない冷戦状態に突入した。

 さらに不気味なのは、外国人への圧力だけでは終わらない点だ。中国政府は2026年9月15日施行の新規定で、自国民の出国監視を劇的に強化した。かつて自由化が進んだパスポート制度は再び締め付けられ、公務員や教員、国営企業幹部らのパスポートは職場で回収・保管される異様な体制が敷かれている。経済低迷で財政が逼迫する中、富裕層の海外資産逃避を防ぐ狙いがあるとされるが、台湾有事を見据えた“国民の囲い込み”ではないかとの疑念も広がる。

 日本人拘束が続く中、日本政府の対応の遅さに批判が高まっている。外務省は事態を把握しながらも、中国を刺激することを恐れ、情報発信や注意喚起を控えてきた。しかし、どの行為が危険とみなされるのかを企業や在留邦人に即座に共有しなければ、犠牲者は増える一方だ。一部のシンクタンクは、嵐が過ぎるのを待つだけではなく、軍民両用(デュアルユース)素材の対中輸出制限など、実効性ある対抗措置を検討すべきだと警鐘を鳴らす。

 状況をさらに複雑にしているのが、世界的なAIブームだ。半導体やロボット製造に不可欠なレアメタルの需要は爆発的に増加し、日本企業は中国からの調達に依存している。だが、政治リスクが高まる中で不透明なルートに頼れば、駐在員が密輸やスパイ容疑をかけられ拘束される危険性は跳ね上がる。一度拘束されれば、冷え込んだ日中関係の影響で解放までの期間は長期化するのが必然だ。

 もはや個人の注意や企業の自己責任では防ぎきれない領域に達した「チャイナリスク」。日本は国・業界・企業が一体となり、代替調達先の確保を急ぐと同時に、外交で一歩も引かない姿勢を示す必要がある。政治と経済が複雑に絡み合う中、日本は国家としての覚悟を試されている。

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