1億円のフェラーリが60億円で落札。世界に1台「ルーチェ」の衝撃

定価約1億円の完全EVが跳ね上がった背景。全額寄付とテーラーメイドがもたらした価値

フェラーリ初の完全電気自動車「ルーチェ」の最初の生産シャシー「Chassis 0」が、米カリフォルニア州で開催されたオークション「The Monterey Auction 2026」(2026年8月13日〜15日)にて4000万ドル(約60億円)で落札された。通常モデルの定価約1億円、事前評価額110万ドル超(約1.7億円)を遥かに上回る金額である。全額が教育支援活動へ寄付される、世界に1台のテーラーメイド仕様と高額落札の事実をお届けする。

4ドア・5シーターを採用した新世代フェラーリの「第1号車」

2026年5月に発表された「ルーチェ」は、フェラーリにとってブランド初となる完全EV(電気自動車)だ。従来のラインアップとは一線を画す4ドア・5シーターという新たなパッケージを採用し、本国イタリアでの車両本体価格は約1億円(55万ユーロ)からに設定されている。

フェラーリ「ルーチェ」が約60億円で落札

今回出品された「Chassis 0」は、その記念すべき最初の生産シャシーである。量産ラインに乗る前の特別な1台として専用のシリアルプレートが備わっており、フェラーリが電動化という新時代へ踏み出す象徴的な意味合いを持つ。

「光」をテーマに開発された専用カラーとメタリックレザー

この記念すべきChassis 0は、「光」をデザインテーマに掲げ、フェラーリのテーラーメイドプログラムによってこの車両のためだけの仕様に仕上げられている。

エクステリアには専用開発された半光沢仕上げの「Madreperla Semi-Gloss(マードレペルラ・セミグロス)」を採用した。光の強さや角度によって緑から紫へと変化する光彩を生み出し、塗装工程の複雑さからニュアンスは1台ごとに異なる。

フェラーリ「ルーチェ」が約60億円で落札

インテリアには「Le Mans metallic leather」の「Perla(ペルラ)」を用い、キャビン内に光を反射・拡散させる仕上げとした。サブパーツには通常のブラックではなくグレーの「Grigio Corvara」を採用し、白を基調としたインテリア全体の統一感を高めている。

買い手の手数料免除特例と、全額寄付がもたらした価格高騰

RM Sotheby’sが主催する今回のオークションで、ロット345として登場したChassis 0。出品時の事前評価額(エスティメート)は110万ドル超(邦貨換算約1.7億円)とされていたが、最終的な落札額はその30倍以上となる4000万ドル(邦貨換算約60億円)に達した。

これほどの金額に跳ね上がった背景には、チャリティオークションとしての特殊な条件がある。本ロットは買い手プレミアム(手数料)が免除されたうえで、収益の全額が「The Ferrari Foundation」を通じた将来の教育支援活動へ寄付される仕組みとなっている。

単なる高額車の売買ではなく、フェラーリ初のEVという歴史的な1台を教育支援につなげるプロジェクトとして機能した今回のオークション。落札された車両はイタリア・マラネッロへ戻され、最終調整を行ったうえで2027年第1四半期にオーナーへ納車される予定だ。定価約1億円からの市販モデルとは異なる価値を提示したこの結果は、電動化時代におけるフェラーリの新たなブランドビジネスを示す象徴的な出来事といえる。

為替レートは1ドル=159円(2026年8月16日時点)で換算

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4000万ドル(邦貨換算約60億円)で落札されたフェラーリ「ルーチェ」(C)Courtesy of RM Sotheby's