
8月26日にネパール領内のトリシュリ川で発生した土石流は、下流の中国領内にも甚大な被害をもたらした。ネパール領内では9月になっても生存者が救出されたとの情報が時折伝わってくるが、中国側の被災地からは同様の状況が伝えられてこない。どのような理由があるのだろうか。海外在住華人向けの中国語情報サイトの文学城は、状況を解説する記事を掲載した。
中国で甚大な被害が集中して発生したのはチベット自治区内のキドン(吉隆)通関所とその周辺だ。現場での救助活動を行っているチベット消防救助総隊特勤支隊プラ支隊長は、多くのプロセスが連鎖した災害だったと指摘し、氷河の崩壊、砕けた岩の流れ、土石流という高所から落下した高速・高エネルギーがもたらした災害の特徴が見られ、「単一の土石流ではないため、破壊力が極めて強く、通関所周辺の道路、通信、電力がすべて断絶する結果を招いた」と説明した。
チベット社会科学院の程越一級巡視員は数千メートルの巨大な落差が超強力な位置エネルギーを集め、通関所を中心とする0.7平方キロメートルの場所に「点状の甚大な被害」をもたらしたと分析した。破壊のエネルギーが狭い空間に集中したために「渦巻く爆発的衝撃」が発生し、通関所周辺の各種建築施設が瞬時に破壊され、現場にいた人の生存率が大幅に低下したという。
チベット大学の楊成業准教授は、今回の災害は氷崩岩屑流に属し、その流速は、一般的な土石流の毎秒10メートルよりもはるかに大きい毎秒50メートル、すなわち時速180キロに達したと説明した。下流にいた場合、土石流の発生を察知しても高い場所に逃げるために残された時間は2分に満たなかったという。また、被災地の中心部では、高密度の固液二相流の高速の流入と押し出しで、無傷の避難施設がほぼ皆無となる結果を招いた。
楊准教授は捜索救助技術について、土石流で隙間なく充填され、生命探知機の有効探知深度が2メートルに満たず、かつ背景ノイズの干渉が深刻で誤報率が極めて高く、このことも救助を極めて難しくしたと説明した。
キドン通関所の場所では土石堆積物の平均の厚さは4メートルで、最高では16メートルに達し、表面には大量の巨石と泥が存在している。そのため、連絡が取れない人々は分厚く重い堆積体の下にうめられて圧迫や窒息などに見舞われ、生存の希望はさらに極めて薄くなっているとされる。(翻訳・編集/如月隼人)

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