
くら寿司は9月5日、従業員による不正を調査していた「ちいかわ」とのコラボキャンペーンを中止すると発表した。
同キャンペーンでは8月21日から9月30日まで、段階的に異なる景品をプレゼントする予定だった。従業員による不正行為が判明したため、6日以降の実施を取りやめた形だ。メルカリで景品の出品が大量にあり、横領した従業員によるものと推察されている。
同様の事件は7月にもセブン-イレブンで起きたばかりだ。人気キャラの商品を発売日の前に従業員が確保し、不正転売していた。人気IPとのコラボは消費者を集めやすい半面、高額で転売できるものが多い。不正行為を目論む従業員に付け入る隙を与えている。
●人気キャラ商品の販売で相次ぐ「店舗の不正」
セブン-イレブンは7月、全国の加盟店に警告文を出した。
人気キャラクター商品に関して、告知した日時前の販売や一部客への優先販売、店舗関係者による買い占めや転売などが起きていたという。SNSや消費者からの指摘により判明した。これを受けて、販売開始時間の順守やロット売りの禁止などのルールを設けた。オーナーが不正に関わったケースもあり、フランチャイズ契約を解除した店舗もあるとしている。
具体的な商品名は公表していないが、さまざまな商品で散発的に発生していたとみられる。2026年1月には、X上でメルカリのスクリーンショットが拡散した。あるカードゲームのパックに関する写真で、通常価格を大きく上回る6万4000円で出品している様子を写したものだ。
●まさかの「キャンペーン中止」の事態に
投稿者によると、本部で定めている販売時間の前に出品を確認したものだという。商品はカゴに入っており、店員の制服が写り込んでいた。一部報道によると、ドラゴンボールやちいかわなどの商品でも、発売日前の転売を含む不正があったという。
SNSではたびたび、発売前や直後の売り切れにより、店員の不正を疑う投稿があった。7月の警告文で、セブンは店舗関係者の不正を事実上認めたことになる。
くら寿司に話を戻すと、ちいかわとのキャンペーンではコラボメニューの提供や「ビッくらポン!」でオリジナルのアニメを流すほか、関連する景品を用意していた。8月21日からは第1弾として、ビッくらポン!でオリジナルフィギュアや缶バッジなどを提供した。9月4日からの第2弾では、3000円ごとにオリジナルの湯呑みを配布した。特に第2弾は大きな反響を呼び、キャンペーン初日では午後7時に予約していた客が午前0時を過ぎてやっと入店できたケースもあったという。
だが冒頭の通り、従業員による不正行為を理由として9月6日にコラボ企画を中止。「オリジナル寿司皿」などを予定していた第3弾以降の企画も中止となり、コラボメニューの提供も取りやめた。くら寿司は9月2日にコラボグッズの不適切な取り扱いに関して調査する旨の公表をしており、従業員による不正は主に第1弾の景品で起きたとみられる。
●メルカリで「明らかにおかしい」出品が……
8月下旬にはXで「1万8000円分も食事してビッくらポン!が17回も当たったが、フィギュアはゼロ」という旨の投稿が話題に。景品として缶バッジやアクリルマグネットを得られたが、フィギュアが手に入らなかったという(当該投稿は削除済み)。
一方でメルカリではフィギュア5種のコンプリートセットを4000~5000円台で何個も出品するアカウントが存在するなど、店員による横領や転売が疑われていた。
第1弾の景品はフィギュア5種・アクリルマグネット8種・缶バッジ8種の計21種だ。供給数が不明のため各景品が当たる確率は計算できないが、当時の最低価格1皿115円をベースに、ビッくらポン!を回すには5皿が必要とすると最低でも575円。4000~5000円未満でフィギュア5種をそろえたとは考えにくい。
なお、くら寿司はコラボ早期中止を受けて「お詫び」と称し、9月6日と7日の2日間で全品10%引きの割引を実施した。
●悪意ある店員にとって、グッズはもはや「現金」?
国内ではアニメやキャラクターを好む消費者が多く、コラボグッズは小売店や飲食店における有効な集客手段として働いている。一方で事業者側は、需要に対して販売額や入手に必要な額を低く設定していることが多い。不均衡な価格設定は転売ヤーが殺到する要因にもなっている。
メルカリなどの個人間売買が可能なプラットフォームの普及により、グッズの転売は容易になった。悪意を持つ従業員から見れば、バックヤードにあるグッズは現金と同じ宝の山である。
セルフレジやキャッシュレス決済の導入により減少したと言われているが、従業員によるレジ金の着服は昔からよくある不正行為の一つだ。筆者が聞いた限りだと「売上実績よりレジの現金の方が少ない」「ある従業員は出勤するたびに500円を抜いていた」などの話がある。
モラルが低い店舗関係者が一定数いることは事実だ。店舗によってはグッズの管理が比較的甘いケースもあるだろう。現金化が容易なグッズを扱う場合、事業者は現金と同じように厳しい管理をする必要がある。
●著者プロフィール:山口伸
経済・テクノロジー・不動産分野のライター。企業分析や都市開発の記事を執筆する。取得した資格は簿記、ファイナンシャルプランナー。趣味は経済関係の本や決算書を読むこと。

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