3月25日(日)まで青山のワタリウム美術館で開催されている『北斗七星の庭_展 重森三玲』。

モダンな枯山水庭園の作庭家として知られる重森三玲氏ですが、会場内には氏の手による東福寺本坊の庭園《北斗七星の庭》と《小市松の庭》の、原寸模型が展示されています。

その「北斗七星の庭」で毎週土曜日に行われているイベント「北斗七星の茶会」でお茶を一服いただいてきました。
 

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■お椀の美しさと配慮の細かさに感動

「雪の下萌」「椿もち」という名をもつ虎屋の季節の生菓子をはじめにいただきましたが、和菓子は季節を感じられて素敵ですね。

わたしのお椀は丸がゆがんでる白い椀で「うまく飲めるのかな......」と一瞬思いましたが、見よう見まねで椀をまわすと抹茶と白のコントラストが美しくまじわり、お椀を愛でながら飲みやすいように作られていることに感動。

重森氏は仕事前に必ずお茶を一服たてたそうで、その心を体感してもらおうと企画されたイベントだそうです。


■趣味人重森氏の茶会にゆかりの品々も展示

近親者を招く初釜(新年の茶会のこと)は半年前から準備していたとか。北斗七星の茶会のおみやげには卯年の茶会の茶記の複製が付いてきたのですが、表紙は兎を模した茶釜がどーん。重森氏の茶目っ気のある笑顔が彷彿とされるセンスです。

その他の年に開催された初釜の茶記も数点展示されているのですが、ものすごいこだわりようです。初釜の時に着用したという着物もモダンなもので昔の趣味人の徹底ぶりにファストファッションに慣れた平成のアラサー女子はいたく感銘を受けるのでした。


パスポート式で何回も鑑賞することができる

会場内で市松模様の庭のインスタレーションに使われている「砂苔」(苔は少量でも太陽光が必要で水をあげすぎると枯れてしまうため、室内で栽培するにはむずかしい植物だそう)は、様々な苔を試したところ栽培が可能だったとのこと。

今回の展覧会は最初に大人1名・1000円のチケットを購入すると、名前を記入することでパスポートとして何回も期間中に使えるとのことで、砂苔の様子を何度か見に来るというのも楽しいかも。苔って最古の植物ですから浪漫を感じませんか?

この砂苔のインスタレーションのあるフロアには銀色と水色が効果的なふすまのデザインや、重森氏の書なども展示されていて、やっぱりその洒脱なセンスにうっとりしてしまうのです。

重森三玲ならではの宇宙を丸ごと感じることが出来るおすすめの展覧会です。


[watari-um - exhibition - 重森三玲]

(まりこ)