昨年11月に、「ニコニコ生放送」よりサービスが開始された「ニコニコ静画」。これまでは、動画を中心にサービスを展開してきたがニコニコの特徴である、ライブのコメント投稿を備えてマンガや書籍といった静画もWEB上で読めるようになった。この新しいサービスについて、ニコニコ静画サービスを支える伴龍一郎さんに取材した。

『けいおん!』もニコニコ静画で無料配信中

 ニコニコ生放送のように、ニコニコ静画でも見ている人の生コメントが流れるサービスとなっているが、これは「電子書籍」の特徴のひとつともいえる「ソーシャル・リーディング」と考えていいのだろうか。

 「うーん…。なんかソーシャル・リーディングっていうと、ちょっと賢そうな感じがしますよね。でも、ちょっとニコニコ静画(電子書籍)のそれとは微妙に違うかもしれない」(伴さん)
 
というと? 
 「ニコニコ生放送なんかを見てもらうと分かるんですが、そこで流れるコメントって、“ソーシャル・リーディング”からイメージされる、賢いコメントとはまた違うんですよね。“感情の共有”――頭、脳みそで考えて出てくる言葉じゃなくて、もっと体に近い、いわば脊髄で反応してものがそのまま現れてきている、という風にイメージしてもらうと良いかもしれません。

 そういった“感情”の共有だからこそ、文字が画面を横に“流れる”というというスタイルが受け入れられているんだろうなと思ってます。揮発性で、長期的に残っていくものじゃないんですね。

 で、もう一個、本の中身を範囲指定してコメントをそこに書き込むというものは、強いて言えば、“ソーシャル・リーディング”を体現したかったもの、と言えるかも知れません」(伴さん)

 「キンドル」のアンダーラインやコメントの共有とそちらは近いようだ。
「そちらの方は、まだ正直模索中でして…(笑)。ユーザーさんの使い方を見ていても、まだどう使って良いのか決まっていないのかなと感じています。僕としては感情の表現の延長にあるような使われ方もあっても良いと思いますし、議論を交えるようなちょっとアカデミックな場として活用してもらっても良いと思っているんですが。

いまは、まだ僕たちも使い方を特定せずに、こちらはまあちょっと使ってみてください、という感じですね」

ダ・ヴィンチ電子ナビ 「まつもとあつしのそれゆけ! 電子書籍」より)