中国国営の新華通訊社(新華社)は14日付で、中国は2016年内に南シナ海の西沙洲(ウェスト・サンド)と渚碧島(スビ・リーフ)で50万本の植樹を実施すると伝えた。ベトナムフィリピンと領有権を争う島や砂州で、実効支配の既成事実を着々と積み重ねることになる。

 海南省三沙市が実施するという。三沙市は、領有権の問題でベトナムフィリピンと対立するスプラトリー諸島南沙諸島ベトナムフィリピンと対立)、パラセル諸島西沙諸島ベトナムと対立)、中沙諸島のスカボロー礁(黄色島。フィリピンと対立)を管轄するとして、2012年に発足した行政区画だ。

 三沙市は緑化を通じて生態環境と住人の生活の向上、さらに海水による浸食を防ぐという。植樹にあたっては、高湿、高塩、高温、強烈な日射に耐える樹木を選ばなければならない。2015年には西沙洲を始めとする西沙諸島のいくつかの島にトベラやトクサバモクマオウ、ガジュマル、ヤシなど十数種、計30万本を植えて、定着率90%の成果を得たという。

 三沙市は社会全般からの苗木の寄付を募っている。また、軍民共同による苗木生産基地を設立して、緑化のモデルケースにするという。

 中国では大手ポータルサイトの新浪網も14日、西沙諸島の永興島の写真を添えて同記事を転載した。中国では全島を中国が実効支配している西沙諸島について特に、「中国が安定的に支配している」ことを強調する記事が増えている。(編集担当:如月隼人)(写真は新浪網の14日付報道の画面キャプチャー

中国が南シナ海で年内50万本を植樹 領有権争いの島で既成事実を着々と