デパートやレストラン、駅などのトイレに行くと、両端が使用中だったという経験はないだろうか。「教えて!goo」「用を足すとき…(男性限定?)」という投稿が寄せられていた。相談者は、トイレに自分以外の人がいない場合2番目に近い便器を使うが、これは行動心理学的に何か理由があるのか気になっている様子。

これに対し「行動学上最も近い便器を使おうとするのですが、一番手前は心理的な負担があるので2番目を使う人が多いそうです」(hyeonさん)や「人は極力隣り合うことを嫌い、端を選ぶことが多いそうです。ただ一番端は壁とすぐ近くでちょっと狭いという場合は、その隣を選ぶことも考えられます」(zuruさん)と、いろいろな回答が寄せられていた。しかし、その意見を総じて見てみると、人には端を選ぼうとする心理が働いていることになる。では、その理由はなんなのだろう? 心理学者の内藤誼人先生に聞いた。

■人間が端を選ぶ理由

なぜトイレで真ん中ではなく、両端を選ぶのか。選択式の回答問題では真ん中を選ぶ傾向があることを考えると、真ん中を選びそうであるが……。

「人間が最も無防備になるのは、排泄、食事、睡眠、性行為の時です。たとえば、トイレで個室が3つあったとしましょう。この時に真ん中を選ぶと、ただでさえ無防備な排泄時なのに、両端を他者に挟まれるのは危険、という心理が働くのです」(内藤先生)

端を選べば左右のどちらかは他者に侵される心配をすることがなくなる。それだけリラックスできるというわけだ。

「また、特に男性は食事の時に人に見られるのが落ち着かないことが多いといわれています。レストランで端の席が人気なのも、少しでもリラックスして食事をしたいという心理が働くためなのです」(内藤先生)

そういわれてみると、レストランやカフェでは端から席が埋まっていく。逆に真ん中の席しか空いておらず、案内されても、何となく落ち着かない気持ちになるというのはよく分かる。

■トイレに施された工夫

こうした人間の心理からか、最近のトイレにはある工夫が施されているという。

「比較的新しいオフィスビルのトイレは、あえてL字型の作りになっていることが多いようです。入口から少し真っ直ぐ進み、右か左に曲がったところに用を足す場所があるということですね。これは、入口から近いところで排泄するのは落ち着かないという心理に配慮された設計になっています」(内藤先生)

トイレで両端がうまることを謎に思っていた人も、これでスッキリ!?

●専門家プロフィール:内藤 誼人
心理学者、立正大学客員教授、有限会社アンギルド代表取締役。慶應義塾大学社会学研究科博士課程修了。「すごい!モテ方」(廣済堂)、「ヤバい出世学」(大和書房)他、著書多数。

教えて!goo スタッフ(Oshiete Staff)

端を選んでしまうのは、人間の本能だった