NHK「中学生日記」が50年の歴史に終止符を打ち、今晩(3/16午後7:25~8:25:Eテレ)シリーズ最終回を迎えます。

1962年に「中学生次郎」という番組名で始まり、1972年から現在の名称になった「中学生日記」、あらためてどんな番組だったのでしょうか。

2001年から2003年まで若宮飛鳥先生役を演じ、現在人材教育会社を経営されている佐藤久美さん(芸名:佐藤満月)に思い出を伺ってみました。

―― 「中学生日記」といえばリアルな中学生の生活が描かれていることで有名でしたね。

「番組を支えてきたのは公募で選ばれる『日記生』と呼ばれる出演者の中学生でした。出演者といっても普通の中学生ですから授業との両立が前提です。だから応募は(撮影の行われる)NHK名古屋の近郊に住んでいる生徒に限られていたんですよ」

―― なるほど、木本花音さん、古川愛李さんとSKE48のメンバーが生徒役で出演されていたのは名古屋で収録されていたからなんですね。

はい。でもどのような子でも主役をやるのは1回だけってルールが決まっています。また夏休みになるとロケで地方に行って、そこの生徒たちが出演する回もありましたね。私のときは徳島県の鳴門へ行って撮影をしたことがありましたよ」

「スタッフもリアルな中学生の姿にこだわって制作していました。15人程度いるディレクター陣には実際の教育現場の先生方と密に連絡を取り合っている方もいらして、その時々実際に起きていることを番組に反映させるようにしていましたね」

「かなり過激なテーマを取り扱ったこともありました。でもスタッフは視聴率を気にするよりも中学生の実態と問題点をきちっと描きたかったのだと思います。ですから『性同一性障害』というような従来の中学生ドラマでは考えられないようなテーマにも果敢にチャレンジしていました。しばらく経ってから民放のドラマでも追うように同じ題材を取り扱っていましたね」

―― でもそのような入り組んだ内容を演技経験のほとんどない生徒たちと演じるのは大変でしょうね。

はい。スケジュールはハードでした。月曜日はいつもオフだったのですけれども、火曜日から金曜日まではリハーサルで、土日は撮影というスケジュールです。『日記生』は学校もあったので本当に大変だったと思いますよ」

―― かなりハードな部活以上ですね。でもそれだけ長時間一緒にいると本物の先生と生徒みたいな信頼関係が生まれるのではないですか。

「そうですね。恋バナから込み入った家庭の事情まで、子供たちは色々な話をしてくれましたね」

―― 恋バナ? 日記生同士で付き合っているカップルもいたりして?

「まあ、そういうのも含めて色々です(笑)」

―― 本当の先生と生徒以上の信頼関係ですね。

「子供たちにとって私は利害関係もなく話をしやすい年上の仲間という感じだったかも知れません。あと、先生役を始めたときベテランのディレクターの方から『本当の先生にならないと子供たちはついてこないよ』と言われました。別のディレクターからも『自分の人生の中で実際に好きだった先生や憧れた先生にしかなれないよ』といわれ、一生懸命自分なりの本当の先生を目指しました。私だけではなく、歴代の先生役の方も皆そうされたのではないでしょうか」

いとうまいこさん、吉田栄作さん、中澤裕子さんなども教師役を務めてきた『中学生日記』いよいよ本日50年の歴史の幕がおります。

最終回は公式ホームページによると「いじめ」や「自殺」という問題を取り扱い「命」という大きなテーマに1時間スペシャルで取り組みます。竹下景子さんを始め、番組出身のOB・OGのゲスト出演もあるとのことです。

中学時代なんて遠い日の思い出になっているかも知れません。あるいは親という立場で中学生と向き合っている方もいらっしゃるかも知れません。

いずれにせよ、私たちはかつてみな中学生でした。
その中学生たちに半世紀にわたり真摯に寄り添ってきた『中学生日記』、最終回を観ながらもう一度中学時代を思い返すことによって、あらためて見えてくることもあるかも知れません。
(鶴賀太郎)

普段はNHK名古屋で撮影が行われる「中学生日記」ですが、こちらの写真は徳島県鳴門にロケに行ったときの生徒さんたちとの思い出の写真です。