法廷ライターの私がこのたび傍聴したのは、先日、時代劇専門チャンネルにて放送された「被告人・田沼意次」の時代劇法廷。開廷前に『この法廷では歴史の彼方から時の扉を経て召還した被告人を、時代劇検察官が様々な証人や物証を用いて追求していく』……との前置きがありました。どうも、そんじょそこらの法廷とは違うようです。

暗く広い法廷に、やる気マンマンの時代劇検察官が現れてまもなく、被告人が登場。なんと、どこでもドアみたいなものが法廷に出現し、そこから車椅子で登場しました。服装も、洋服でなく和服の上に、チョンマゲ姿です。マジなのかギャグなのか判然としない状況に、笑いそうになりますが、時代劇検察官は厳しい目で被告人を見据えています。どうやらここは笑うところではないようです。裁判官の姿が見えないのが気になりますが、声は聞こえるので、法廷にいるのは間違いないでしょう。車椅子を押していたお付きの人物「平賀源内」なるものが時代劇検察官の向かいの席に座り、どうやら開廷となったようです。

被告人は徳川幕府老中という立場を利用し、世に金権政治をはびこらせたばかりでなく、自らもたっぷりと私腹を肥やした……として収賄罪で起訴されている様子。時代劇検察官が大きな声で被告人の経歴が掲載された日本史の教科書を読み上げます。なるほど、これは一般の法廷における「被告人の身上経歴」について述べる場面と同じですね。

「田沼と言えば賄賂、賄賂と言えば意次」というほど、被告人と賄賂が切っては切れない関係にあったと主張する時代劇検察官。一方、被告人はしらばっくれているのか、それとも単に歳のせいか、我関せずといった様子。これは手強い被告人です。

時代劇検察官は、普通の検察官がよくやるように、被告人が若い頃から出世欲が旺盛だったこと、荒廃した農村の立て直しに力を入れなかったことなどを挙げて責め立てますが、平賀がまるで弁護人のように被告人をフォローし始めました。こうなると法廷は盛り上がり始めます。その後も数々の証拠や大物証人を使って被告人を追いつめる時代劇検察官。それを余裕の態度でかわす被告人。さらに、平賀が突然自己紹介を始めて正体を明かす番狂わせも。なかなかアツい法廷です。

そんなこんなで、被告人に下された判決は……? ぜひ、傍聴して確かめて下さい!

時代劇法廷ということで、被告人には「この人たちを裁いちゃっていいの?」と心配になるほど歴史上の有名人ばかりが名を連ねます。ちなみに、法廷では被告人のキャラや経歴がとことんあぶり出されるので、日本史に疎い方や受験生も楽しめるんじゃないでしょうか。

時代劇法廷(時代劇専門チャンネル)

http://www.jidaigeki.com/original/special/jidaigekihoutei/index.html

3月の「時代劇法廷」の被告人は、新選組の鬼の副長こと“土方歳三”!