砂漠で生きる植物の強い生命力をストレス社会に取り入れて。
ネイティブアメリカンは砂漠の植物の力を上手に取り入れていた。現代生活でも活用したいハーブの力を紹介。

ネイティブアメリカンは薬草使いの天才

ネイティブアメリカン(アメリカ先住民)は、薬草を用いる天才だったようです。歯痛やのどの痛みなどの治療薬として用いられた「エキナセア」や、皮膚炎や切り傷、関節炎などに万能とされた「ウィッチヘーゼル(ハマメリス)」など、今でも世界中で使われているものもあれば、中には現地の人に語り継がれているだけのものもあります。

例えば鎮痛剤として使われていた「グリース」は、高さ2メートル以上ある木で、小さな黄色い花と、丸い綿毛のような実がついている、見た目にもかわいらしい木です。葉を手で包んで息を吹きかけてみると、古い油のような強い香りが! 「グリース(油)」という名前は、決していい匂いとは言えないこの香りからついたそう。昔はこの葉をお湯で煮出して飲んだり、傷口につけたりしていたといいます。
(写真:ネイティブアメリカン鎮痛剤に使っていたグリース)

セージ」や「パロサント」の香りで浄化&集中力アップ

飲んだり塗ったりするだけでなく、ネイティブアメリカンは香りの持つ効果にも注目していました。
部屋に置いて空気を浄化したり、天然石を清めたりする時に使われ、日本でも人気のハーブセージ」は、ネイティブアメリカンが神聖な儀式の時に使っていたとされるものです。

ロサンゼルスでは、そのセージと同じ効果があるとされる「パロサント」という木も有名です。南米に自生する木で、別名「神の木」とも呼ばれており、使い方はセージと同じ。スティック状にした香木をそのまま部屋に置くか、火をつけてお香のように使います。香りは、木のナチュラルさと、ほんのりとした甘さが混じったもの。この木を香りをかぐと、エネルギーがみなぎり、集中力が増すという人もいるよう。
(写真:パロサントの木。火をつけるとお香のように煙が立ち、木の香りが漂います。日本でもネットショップなどで手に入ります)




自然を尊敬する気持ちも“効き目”のうち

ネイティブアメリカンが住んだのはおもに砂漠。砂漠というと、何も植物のない場所をイメージしますが、実はアメリカの砂漠はサボテンをはじめ、個性的な木や植物が育っています。それぞれ、わずかな地下水を頼りに生きているため、同じ種類の木でも、場所が数センチ違うだけで、一方は枯れ、一方は生き残るということが日常茶飯事なのだとか。

現代では、こうした「砂漠で生きる植物」の強い生命力に注目してコスメを作っている会社もあります。技術は進歩しましたが、昔ながらの植物の恩恵を受けているのは、今も昔も同じです。自然を尊敬し、大切にする心も“効き目”のうち。大切に受け継いでいきたいものです。

取材協力:カリフォルニア観光局
ボレゴスプリングス観光局


(小山陽子 LA在住 健康&美容エディター