先日、ファミレスに行ったら大学生たちが“男気じゃんけん”をして盛り上がっていました。じゃんけんで勝った人が全員分の代金を払うという、おなじみのアレです。
そういえば私が学生の頃は、ロンドンブーツ1号2号による「not100」が流行ってたっけ。時計回りに数字をコールしつつメニューにタバスコをかけていき、100を言った人が負けで、そのメニューを食べなきゃいけないゲームです。

バラエティ番組で行われるこの手のゲームを仲間内でやると、意外に面白いんですよね。
だから一度、私はアレをやってみたい。たくさんのスイーツを並べた中でどれか一つだけわさびがたんまり入ってて、それを食べてしまった人が負け……みたいな遊びを。


和菓子の技術と、門外不出の技術が活用されて完成


ところで先日、気になるものを発見してしまいました。「御殿八ッ橋本舗」(京都府京都市)が6月1日より発売しているのは、その名も『生八ッ橋 わさび』(税込250円)。


どんな生八ッ橋だと思います、これ? ……言うまでもないでしょうね。生八ッ橋と餡の双方に、わさびが練り込んであるんです。

同社の営業社員が取引先と会話している中、「わさびなんて面白いんと違う?」とこのアイデアを半ば冗談で打診され、それを本気で取り組んで商品化と相成ったそうです。

では、単刀直入に聞いてしまいたい。この生八ッ橋、そもそも“おいしさ”を狙ってるんですか?
「どちらかと言えば、話題性を狙いました(苦笑)」(同社企画営業部・文字英知さん)
たしかに、ほんのりわさび味がするくらいじゃ、誰も注目しないでしょうしね。でも、単に話題先行型じゃない。白餡とわさびの相性も考えているし、いい香りになるようにわさびブランド「金印」に相談もしたとのこと。

あともう一つ。生八ッ橋にわさびを練り込むだけじゃ、ダメなんです。というのも、わさびって性質上、香味や刺激感が持続しないから。
わさびは“瞬間の辛さ”です。わさび自身の持ってる酵素で、辛さを分解しちゃうんですね。この辛さを長時間もたせるのは、今の科学では不可能だそうです」(文字さん)
たしかに、すりおろしたばかりのわさびからは特有の香りがするけど、次第に消えてしまうもんな。

じゃあ、この生八ッ橋は速攻で食べなきゃダメなんですか?
「いえ、金印さんにヒントをいただきながらこの課題を辛うじてクリアいたしました」(文字さん)
どうクリアしたのか? わさびに次ぐ刺激の強い香辛料といえば「からし」が挙げられます。からしの辛さはわさびとは異なり、「後から効いてくる」性質だそう。要するに『生八ッ橋 わさび』には、後から効いてくる「からし」も活用されているらしいです。

それにしても、これってメチャメチャ企業秘密じゃないですか!?
「でも、原材料に『からし』って書いてあるっていう(苦笑)」
本当だ!


もちろん、知られざる技術はこれだけじゃない。あんこ製造は湯気が立つほどの状況で行われ、そんな高温にわさびを入れてしまうと一瞬で溶けてしまいます。これをクリアするために、企業秘密の技術が用いられているとのこと。もちろん、その辺りについては教えてもらえませんでした。
「話題性を狙って作った商品ではありますが、繊細な食材を扱っているので、和菓子の技術をちゃんと活かしています。意外と手はかかっています(笑)」(文字さん)


食べてみたら、仰天! 醤油を付けたら、もっと仰天!!


この『生八ッ橋 わさび』についての情報については、もう把握しました。となると、後は実体験だけだな……。というわけで、実際に商品を取り寄せてみようと思います。

はい、届きました!

見た目は、普通に生八ッ橋です。

手に取って匂いを嗅ぐと、餡の甘いそれがする。

ならば、安心して大きくかじりついてみたい。では、いただきまーす。ガブリ! ……あれ? おいしい。甘さもあるけど、わさびテイストがいいアクセントになってて、これはこれでアリです。生八ッ橋の新しいバージョンとして、お薦めできるんじゃないでしょうか。

「反響としては、『もっと辛みがあった方がいい!』というものと『鼻がツンツンする!』の2種類に分かれています。『気持ち悪い!』というお声は頂戴していないので、おいしさを意識した甲斐がありました(笑)」(文字さん)

私の感想を言わしていただくと、この生八ッ橋の基本ベースは上品な甘みだと感じました。そこに、わさび(&からし)のからさが追っかけてくる。意識してなかったら「からっ!」ってなるかもしれませんが、承知して食べたらかなりナイスです。僕は好きですね。
「米粉を主とする生八ッ橋ですから、わさびとの相性は良いんですよね。作った僕らもびっくりしているんですが(笑)。冗談でお醤油を付けて食べてみたら、これがまたおいしいんですよねぇ」(文字さん)

冗談でしょ? じゃあ、やってみよう。パクリ……ほんまや! お醤油をかけると皮がご飯的な役割に変容し、和菓子というよりしっかり食事をとってるような印象になります。

そんな『生八ッ橋 わさび』のターゲット層は?
「完全に、インバウンドです。唐辛子系ではないからみを不思議に思い、現在は特にアジアの方でわさびが盛り上がっているようなんです。また、かねてよりお寿司が人気を博している欧米からのお客様も想定しています」(文字さん)

しかし、実際はやはり「罰ゲームじゃん!」とキャッキャッしながら購入していく修学旅行生が多数とのこと。いや、普通においしいから冷静になって食べてみて!
(寺西ジャジューカ)