毎週金曜深夜にBS12トゥエルビで放送中の「BOOKSTAND.TV」(深夜2:30-3:00)は、本や映画のエンタメ情報を独自の視点で届ける情報バラエティー番組。今回、そのコーナーの一つ「メルマ旬報.TV」に出演する水道橋博士にインタビューを行い、番組の見どころや自身の本への熱い思いなどを語ってもらった。

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――「メルマ旬報.TV」は、水道橋博士ご自身が編集長を務めるメールマガジン水道橋博士のメルマ旬報」の執筆者の中からゲストを迎えて、トークを繰り広げるコーナーですね。10分程度の放送ですが、今回は1時間近くも収録されていました。

そう、びっくりするでしょ(笑)。かなりカットしているんです。

――ではまず、メールマガジン水道橋博士のメルマ旬報」発行までの経緯を教えてください。

50歳になった時、記念にやってみたかったことをやってみようと思って。雑誌の編集長というのはそれ以前から興味があったので、自分が「こんなメールマガジンがあったら面白いのに」と思っていたものを作ろうと。

1人が毎週書くメールマガジンはたくさんあるけど、そうではなくて、執筆者がたくさんいて、休載していてもいいっていうもの。そして簡単には読み終わらない分量で、逆に言えば「どこから読んでもいい」メールマガジンを作ってみたいなと思ったんです。コンセプトとしては、「大人の『コロコロコミック』、子供の『文藝春秋』」ですね。メールマガジンが届いた瞬間に、スマホが重たくなるようなものをやろうと。校了前には3日3晩寝られないような、異常な熱気を持つものが作りたかったんです。

あとは、出版不況に対する思いもあって。“猪木イズム”的に言うと「ジャンルが危機にひんしているのなら、新しいジャンルを作ればいいじゃないか!」というところからの挑戦でもあります。

――「水道橋博士のメルマ旬報」の執筆陣は、映画監督の園子温さんから、博士の運転手を務めていた芸人のガン太さんまで、幅広いジャンルの方を網羅しています。

執筆者は今、50人を超えようとしていますね。全員、自分で交渉して執筆をお願いした方々です。自分がこの人の本を読みたいなと思った人に、書いてもらっています。

――番組を拝見していると、博士は本はもちろんですが、その本を書いた著者にとても興味をお持ちのように見えます。

そうですね。人と人を本でつなげたいという思いは強いと思う。よく「星座」に例えるんですが、もともと形を成していないものが、線でつないだことで形になる。誰かと誰かが結ばったことで、急に意味が浮かんでくるっていうことがあると思います。

――最終的には「メルマ旬報」で執筆された原稿と出版社がつながって、本という形で世に送り出したいと?

この「メルマ旬報」の、一つの使い方だと思いますね。出口はやっぱり本だと思います。そのために、「メルマ旬報」は編集者とか出版業界の人には、フリーで配信しています。現に今も出版を見据えて、編集者とコンセプトを打ち立てた上で「メルマ旬報」で執筆している人もいるし、「こういう本を書きたいんだ」っていう、企画書を原稿として配信している人もいます。

――そんな中で、「メルマ旬報.TV」として、テレビで放送しているわけですが。

「本が面白い感じ」を、テレビで発信しているイメージですかね。「本の面白さ」が、何となくでもテレビで伝わればいいなと思ってやっています。

――でも、書評の番組ではないのですね?

そういえば、そうですね。本にこだわらず、映画だったり芸能界だったり、幅広いカルチャーを発信していく主旨の番組とのことなので。

――テレビの「メルマ旬報.TV」を入り口として、メルマガの「メルマ旬報」を知ってもらって、最終的には本という媒体に手を伸ばしてほしいと?

そうですね。今は新しい連載も考えていて、「Tシャツを連載する」っていうものなんだけど、メルマガの執筆者がデザイナーの人に依頼をしてデザインしてもらったTシャツを、メルマガの中だけで売って、ファッションに興味がある人にも本の世界を見てもらうきっかけを作りたいなと。

――では最後に、テレビの視聴者の方へ向けて「メルマ旬報.TV」の見どころやメッセージをお願いします。

タレントが出てくるわけでもなく、たくさんの活字を書いている人たちが出てきます。文を書いて残そうとしている人たちの「面白さ」に、まずは触れてもらえたらと思っています。「タレントじゃないけど、面白い」と、そう感じてもらえたらうれしいです。

次回、6月24日(金)はゲストにテレビ番組のプロデュースや映画の演出などマルチに活躍する角田陽一郎氏が登場する予定。

また、同番組内では「メルマ旬報.TV」の他にも、作家が愛したレストランや居酒屋喫茶店を探訪し至極の逸品を紹介する「作家のグルメ」コーナーや、女性アイドルやタレントが心揺さぶる文学を朗読する「朗読女子」のコーナーなども放送されている。

メルマガであってもテレビであっても、「本への敬意は捨てていない」と熱く語る水道橋博士