夏と言えば……「高校野球」とつい答えてしまう野球好きの皆さん、この7月末は、都道府県大会に熱中している頃ではないでしょうか。

野球はサッカーと二分するほど、日本で人気の高いスポーツ。そもそも野球経験者が多いということもあり、高校野球は広く人気を集める大会となっています。

高校を卒業しても野球に熱中している人も多いことでしょう。野球を続けることには、様々なメリットがあります。球を投げたり、打ったりするスポーツですので、動体視力をはじめ、腕力や脚力が必要となります。また、止まっている状態から走り出すことも多いので、瞬発力も問われますよね。

長く野球を続けている人は、このあたりの能力が秀でていると言えます。野球経験者の方は、ご自身と比較しながら、高校生の展開する野球を楽しんでいるのではないでしょうか。

高校野球には、経験者でなくても楽しめるポイントがあります。そのひとつに各学校による応援があると言えるでしょう。野球未経験の筆者でさえも、何曲か思い出すことができます。応援歌って耳に残りますよね。

先日放送された人気TV番組「アメトーーク」でも、高校野球の応援歌について特集がされており、その中で、あるランキングが発表されました。

第1位:アフリカン・シンフォニー
第2位:ルパン三世のテーマ
第3位:Queen We Will Rock You
第4位:ピンク・レディー サウスポー
第5位:BRAHMAN SEE OFF
第6位:X JAPAN
第7位:海のトリトン
第8位:山本リンダ 狙いうち
第9位:エル・クンバンチェロ
第10位:宇宙戦艦ヤマト

こちらのランキングは、今年発表された応援歌TOP10。どの曲目がより多くの学校で演奏されたかを集計したものです。選手の名前を知らないファンでも一度は聞いたことのある名曲ばかりですね。実は昨年度発表された同ランキングでも「アフリカン・シンフォニー」が1位になっています。高校野球界の名曲中の名曲ですね。

さて、そもそも同曲はどの学校が演奏しはじめ、定番化されたのでしょうか。

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アフリカン」を始めたのはあの大阪の名門校

こちらは1974年に発売されたヴァン・マッコイさんのディスコミュージック。曲の難易度もそれほど高くないため導入しやすい曲ですが、最初にはじめた学校は「1987年甲子園に出場した智辯和歌山」というのが一般的です。

しかし、書籍『高校野球を100倍楽しむブラバン甲子園大研究』の著者・梅津有希子さんの調査によると、智辯和歌山よりも先にPL学園は以前からこの曲を採用していた様子。PL学園では、智辯和歌山よりも約10年も早い1978年甲子園で初めて同曲を演奏しましたが、その後、オリジナル曲を重視することになり、演奏しなくなったと同書で紹介されています。


では、なぜ「アフリカン」は智辯和歌山が演奏しているという印象をもっているのでしょうか。それは、「かっせ、かっせ、智辯」という勢いあるかけ声と共に応援するスタイルが新鮮で特徴的だったため。

「かけ声を入れやすくするためにテンポを速めたり、トランペットパートや打楽器パートを強調するなどの編曲を行い演奏したところ、生徒や選手たちにも好評だったことから、初回と7回に演奏する定番曲となりました。強い野球部のおかげで何度も甲子園で演奏する機会があり、『智辯和歌山といえばアフリカン』と言われるようになったのだと思います」と、同校教頭で吹奏楽部初代顧問・吉本英治さんの言葉が、同書で紹介されています。

今年も、地方大会では多くの熱戦が繰り広げられており、会場の盛り上げに応援歌が花を添えていました。今年は名門校と言われる花巻東、大阪桐蔭、興南、敦賀気比などが既に敗退。また、智辯和歌山もまた和歌山県大会の準々決勝で姿を消してしまいました。残念ながら智辯和歌山応援歌は聞くことができませんが、今年もまた多くの学校が「アフリカン」を演奏することでしょう。

また、部員12人のPL学園が最後の夏を迎えたり、一時逆転したものの雨天コールドのため敗退した浦添商など、様々なストーリーが生まれています。野球に詳しくなくても楽しめる。それが高校野球の魅力ではないでしょうか。8月に入ると代表校が出そろい、いよいよ夏の甲子園が本格的に開幕します。