道を聞かれたときにうまく説明できなかったり、あげくの果てには「あ、駅まで行けば交番あるんで……」なんて、道案内を放棄した経験、みなさんにはないでしょうか?(僕はあります) 上手に道案内をするにはどうしたらいいのかなぁ。誰か教えてー!

今回のちょいたつ(ちょい達人の略)は、交番の前に立ち、一日約200件近くの道案内を裁くという巡査・佐藤さん(仮名)。おまわりさんならではの道案内のコツ、伺いました!

■公共物を目印にする

何を目印にして説明をすると分かりやすいでしょうか?

「わたしの場合は、まず信号を目印にします。何個目の信号を右、左といった具合です。距離がありそうな場合は、交差点の名前を伝えて、それを目印にしてもらいます。学校や公園など、分かりやすい公共施設を目印に説明することもあります。ビルやお店の名前など、見逃す可能性があるものは極力避け、できるだけ目立つ公共物を目印に用いて、説明をするように心がけています」

■全体像をイメージしてもらう

土地勘がない方への道案内は、細部の説明が難しいと思います。工夫をしていることってありますか?

「細部の説明をする前に、まずは全体の説明をしますね。大体、大人の足で○分くらいかかる距離で、ちょっと入り組んだ道があるので難しいかもしれません、などといった具合でしょうか。はじめに難しいということをお伝えしておけば、聞く方も心構えができますよね。例えばいきなり、100メートル先のタバコ屋さんの角を右に曲がって、坂道を20秒ほど登ったら、お地蔵さんが見えますから、うんぬん……と、詳細な説明から入ってしまうと、聞く方も覚えにくいですし、混乱しますよね」

■失敗例を伝える

上手に説明できそうにないなぁ…というときもあるんじゃないですか?

「そうですね。そういうときは、やはり地図を見てもらうのが一番話が早いですね。地図上で現在地と目的地を示して、大体の距離感や方向をつかんでもらった上で、説明をします。年配の方には、簡単な地図を描いて手渡すこともあります。その際には、『○○まで行ってしまうと行き過ぎなので気をつけてください』といった、説明も加えるようにしています。漠然と目的地を目指すよりは、失敗パターンが分かっている方が安心できると思います」

なるほど、なんだか心理学のような奥深さがありますね。

■ひとことアドバイス
「土地勘がないと、道を聞かれたときにうまく説明できないことがあります。自分の判断で間違った道案内をするよりは、近くの交番を案内する方が適切な対応かもしれません。もちろん、交番までの道案内は必要ですけどね(笑)」

最近ではケータイやスマートフォンで地図を表示できます。もし誰かに道を尋ねられたら、これらのちょっとしたコツをふまえた上で、自分だったらどうしてほしいかを考えながら説明するといいかもしれませんね。

ホステスから駅員さんまで。ちょい達人に聞いた仕事と生活術入門コラム「ちょいたつの知恵」

(根岸達朗/プレスラボ)