12年オフにメジャーリーグから日本球界に復帰、古巣の中日ではなく阪神へ入団した福留孝介。昨シーズンは打率、本塁打数、打点の打撃3部門でチーム最高の成績を残すなど、ベテランとなった39歳の今も主軸として甲子園でその勇姿を披露している。いわば福留は“甲子園の申し子”。それはPL学園時代からの代名詞である。

 93年にPL学園に進学した福留は1年の夏から5番を打ち、同年秋からは4番に抜擢された。翌94年の春の選抜ではチーム唯一の2年生レギュラーとして出場を果たしている。この大会では準決勝で智弁和歌山の前に4-5と惜敗し、ベスト4止まり。それでも準々決勝の神戸弘陵(兵庫)戦では5打数2安打。打ったヒットはいずれもタイムリーとなり、3打点を挙げる活躍をみせている。

 その1年後、95年の春選抜で福留は再び甲子園に帰ってきた。初戦の相手は古豪・銚子商(千葉)。この大会、二人のスラッガーが注目されていたのだが、一人は福留。そしてもう一人が銚子商の澤井良輔(元・ロッテ)だった。試合は澤井が先制ソロを放てば、福留もセンターバックスクリーンに飛び込む3ランで応戦、打撃戦となった。だが、7-7で迎えた延長11回表に銚子商に3点を勝ち越され、7-10でまさかの初戦敗退を喫してしまう。

 期待されながら甲子園では今ひとつ力を発揮できなかった福留。だが、3年生最後の夏の選手権でその打棒がついに大爆発する。

 それは初戦の北海道工(現・北海道尚志学園=南北海道)戦の第3打席だった。福留の右前打から始まった3回裏の攻撃は4点を奪い打者一巡。2死満塁で再び打席が回ってきたのだ。そのバットから放たれた打球はライトスタンドへ飛び込む満塁弾となったのである。福留は5回裏にも史上11人目となる2打席連続アーチをかけ、3打数3安打6打点の大活躍。続く2回戦の城北(熊本)戦は無安打に終わったものの、3回戦の日大藤沢(神奈川)戦は三塁打1本に1打点。準々決勝の智弁学園(奈良)戦は二塁打1本を含む3安打。試合は6-8と惜敗したが、この大会での福留の成績は4試合で15打数7安打7打点2本塁打2三振。打率4割6分7厘と95年度の高校野球界NO1スラッガーの実力を存分に見せつけたのだった。

 日本球界復帰の際、阪神タイガースを選んだ福留。PL学園出身のスラッガーでも上位に評価されるこの男は、甲子園でこそ映えるのだ!

(高校野球評論家・上杉純也)

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