高橋幸宏がキュレーターを務める野外音楽イベントWORLD HAPPINESS 2016」が8月28日(日)に東京・夢の島公園陸上競技場で開催された。夢の島公園は2008年の第1回以来長らくワーハピの会場として親しまれてきたが、東京オリンピック開催予定地の1つでもあることからここでの開催は今回が最後。このフィナーレを盛り上げるべく14組のアーティストが熱演を繰り広げた。

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オープニングアクトの柴田聡子がレフトステージにて弾き語りで「カープファンの子」などを歌ったのち、センターステージに最初に現れたのは林立夫、沼澤尚(シアターブルック)という2人のドラマーを中心にしたAFTER SCHOOL HANGOUT。鈴木茂(G)、森俊之(Key)、沖山優司(B)、Leyona(Vo)、高橋幸宏(Vo)という豪華な顔ぶれが集結し、「学生時代、放課後によく聴いた洋楽曲をカバーする」をコンセプトにしてうららかでリラックスした演奏を聴かせる。さらにThe Beatlesの「Lady Madonna」ではLEO今井、Crosby, Stills, Nash & Youngの「Helpless」では矢野顕子ゲストボーカルとして登場。最後のトッド・ラングレン「I Saw The Light」では矢野、LEOLeyona、幸宏が4人で歌声を響かせあった。

レフトステージではWEAVERが「Shall we dance」からライブスタートさせ、カラフルでダンサブルなピアノサウンドで会場は一気に大盛り上がりに。「くちづけDiamond」の途中でメンバー3人はピアノに集まり、連弾でYellow Magic Orchestraの「ライディーン」を演奏して観客を驚かせた。

矢野顕子ライブは、前半は1人でピアノ弾き語りを披露。事前にセットリストを決めずその場で思いついた曲を歌っていくスタイルで、「CHILDREN IN THE SUMMER」や、 はっぴいえんどカバー「夏なんです」といった夏の終わりにピッタリの楽曲を歌唱した。後半、牛乳と花を手に持ったSeihoがステージに現れ、彼は生け花をしながら美しく繊細な電子音を発信。その後2人のコラボによる「Tong Poo」が演奏されると客席のYMOファンが沸き、ラスト11月30日発売のベストアルバム「矢野山脈」に収録される、Seihoとのコラボによる「春咲小紅(矢野山脈ver)」も披露された。

続いてレフトステージに姿を見せたのはYkiki Beat。この日の彼らは人気曲「Forever」を演奏せず、陰のある1980年代ニューウェーブ風の曲を中心にした攻めたセットリストライブを行った。メンバーはこの日の出演者の中では最年少だが、それを感じさせない堂々たるステージングで雄大なサウンドを響かせていた。

スチャダラパーギタリストKASHIFを含むバンド編成でライブを実施。グループとしてはYMOを抜いてワーハピ最多出場となったことを受けて、「俺たちも3人組なので後を継ごうかなと思ってます!」とYMOの後継を宣言した。ほかのメンバースチャダラパーロゴマークTシャツを着ている中で、間違えて電気グルーヴが作ったパロディTシャツを着てきてしまったというANIに会場は大爆笑。「FUN-KEY4-1」ではYMOの「ファイアクラッカー」のフレーズに乗せてラップをし、ラストは「サマージャム(ワーハピVer.)」と題して坂本龍一戦場のメリークリスマス」の上でコールレスポンスを行った。

初参加アーティスト中心のレフトステージの中で唯一2度目の出演となったポカスカジャンは、「もし長渕剛ドラえもんの絵描き歌を作ったら」「THE ALFEEが『森のくまさん』を歌ったら」「The Beach Boysが八代亜紀の『舟歌』を歌ったら」「いろいろな曲の中にThe Beatlesの『Let It Be』がかくれんぼする」といった音楽ネタを連発。確かな演奏技術と豊富な音楽知識に裏打ちされた完成度の高いギャグで、観客を笑いの渦に引き込んでいった。

続いて行われたのは、2011年に無期限活動休止を宣言したムーンライダーズの復活ライブ2013年に亡くなったかしぶち哲郎(Dr)を除くメンバーステージにそろうと、それだけで場内は騒然となる。今回のライブは、1991年に活動停止からの復活後第1作として発表されたアルバム「最後の晩餐」の収録曲で、「誰が最初に死ぬのか?」という意味のタイトルである「Who's gonna die first?」でスタート鈴木慶一が「活動休止の休止スタート!」と宣言し、彼らは次から次へと懐かしい楽曲を披露した。「スカーレットの誓い」で会場中が拳を振り上げ大合唱。またこの日は鈴木の65歳の誕生日だったため、ビジョンに大きく「鈴木慶一さん お誕生日おめでとうございます」というメッセージが映し出され、盟友・高橋幸宏が花束を持ってステージに現れた。幸宏はそのままライブに参加し、鈴木と共に「9月の海はクラゲの海」をデュエット。さらに「BEATITUDE」では幸宏がドラムを叩いた。

GLIM SPANKYブルージーなギターを爆音で鳴らしながら「ワイルドサイドを行け」「怒りをくれよ」などを歌唱。松尾レミ(Vo, G)は「影響を受けた先輩方と一緒のステージに立ててうれしいです」と感激を露わにしつつも、豪快なステージングでオーディエンスを圧倒していた。

ブラジルリオデジャネイロ公演から帰国したばかりの東京スカパラダイスオーケストラは、現地の熱い風を持ち帰ってきたかのような熱気あふれるライブを展開。キリン「氷結」のCMソングとしておなじみの「Paradise Has No Border」を1曲目とラストに計2回演奏するというコンセプチュアルなセットリストで、会場のテンションをグイグイと上げていった。また中盤には「リオの次は東京オリンピックだもんね! 東京、気合入れていこうぜ!」と呼びかけ、9月にブラジルで発売されるベスト盤「TOKYO SKA PARADISE ORCHESTRA~Selecao Brasileira~」の収録曲である、セルジオ・メンデスのカバーで知られる「MAS QUE NADA」も披露した。

水曜日のカンパネラライブが始まると、コムアイは大きな白馬の御輿に乗って客席から登場。派手な入場演出に度肝を抜かれている観客を、彼女は「カモン!埋立地!」と煽る。その後も彼女は客席に降りたり、大きな脚立に上がって歌ったりと、レフトステージセンターステージの垣根を崩すかのような自由で破天荒パフォーマンスを連発。アウェイな空気を感じた彼女はMCで「(自分のことを)『FRIDAY』で知った人ー?」と言って手を挙げさせ、会場をなごませていた。

電気グルーヴは派手な映像演出とともに、前半は「Fallin' Down」「Missing Beatz」「Shamefull」「Baby's on Fire」といった近年のシングル曲を次々にプレイアグレッシブビートで観客の体を揺らす。そして後半は「FLASHBACK DISCO」「N.O.」「富士山」と必殺のナンバーを連発。興奮状態のオーディエンスを前に、石野卓球ピエール瀧ステージ上で相撲を取ったり、卓球がショルダーキーボードを演奏したりといったパフォーマンスが繰り広げられた。ラストの「虹」では映画「未知との遭遇」の交信音を思わせるメロディが織り交ぜられ、約40分のライブは壮大なフィナーレを迎えた。

朝からぐずついた空模様でありながら、運よくここまでほとんど雨は降っていなかったが、レフトステージの最後に大森靖子が登場したタイミングでついに会場に雨が降り始めた。しかし大森は悪天候に負けず、バンド編成で気合いの入ったステージを繰り広げた。「絶対彼女」の歌唱中に「絶対女の子 絶対女の子がいいな」というフレーズでオーディエンスとコールレスポンスをしようと試みた大森だったが、電気グルーヴMETAFIVEの間という時間帯ゆえか反応が薄く、彼女は「テクノおっさんしかおらんやろ!」と観客を挑発。それを聞いて火が付いたオーディエンスと彼女の間で、激しい雨の中で「おっさん!」というコールレスポンスが発生し、いつしか会場は大きな一体感に包まれていた。

3年連続でトリを務めることになったMETAFIVEは、「Maisie's Avenue」「Luv U Tokio」など1月に発売されたアルバムMETA」の収録曲を中心にライブを実施。序盤は雨に見舞われていたが、晴れ男として知られ過去のワーハピでも雨を止ませてきた実績がある高橋幸宏のおかげか、「Split Spirit」が終わる頃にはすっかり雨が止んでいた。また幸宏はライブ中、METAFIVEが11月にミニアルバムMETA HALF」をリリースすること、および初のワンマンツアーWINTER LIVE 2016」を開催することを発表。このミニアルバムに収録を予定しているという、小山田圭吾の主導で書かれた新曲「Chemical」が初披露された。

アンコールに呼び戻されてMETAFIVEが再びステージに戻ると、幸宏の盟友であるスティーヴジャンセンがゲスト参加しドラムセットに着席。幸宏は「どうしてもこの曲やりたいって、まりん砂原良徳)が言うもんだから……」「この曲はもう、やることはないかもね」と少しはにかみながら語り、最後にMETAFIVE+スティーヴジャンセンでYMOの「君に、胸キュン。」をパフォームした。この曲がYMOメンバーによってライブで演奏されるのは、1983年12月に東京・日本武道館で行われた“散開コンサート”以来33年ぶり。会場は大合唱で包まれ、夢の島公園でのワーハピの最後を飾るにふさわしいハッピーフィナーレとなった。

なお、この日のライブの模様はCSテレビ朝日チャンネルにて11月に放送が予定されている。

「WORLD HAPPINESS 2016」2016年8月28日 東京都 夢の島公園陸上競技場 セットリスト

柴田聡子

01. カープファンの子
02. スプライトフォーユー
03. ニューポニーテール
04. いきすぎた友達
05. ゆべし先輩

AFTER SCHOOL HANGOUT(林立夫&沼澤尚 with 鈴木茂, 森俊之, 沖山優司 featuring Leyona and 高橋幸宏

01. Feelin' Alright
02. Lady Madonna(with LEO今井)
03. To Sir, With Love
04. Never Can Say Goodbye
05. Drop Down Mama
06. Helpless(with 矢野顕子
07. I Saw The Light(with 矢野顕子LEO今井)

WEAVER

01. Shall we dance
02. くちづけDiamondライディーン
03. さよならと言わないで
04. KOKO

矢野顕子

01. CHILDREN IN THE SUMMER
02. 夏なんです
03. そりゃムリだ
04. ひとつだけ
05. Collapse~The Vase(Seiho solo)
06. Tong Poo(with Seiho)
07. 春咲小紅(矢野山脈ver)(with Seiho)

Ykiki Beat

01. The Running
02. Modern Lies
03. Stepping Out
04. Vogues Of Vision

スチャダラパー

01. MORE FUN-KEY-WORD
02. ライツカメラアクション
03. GET UP AND DANCE
04. 今夜はブギー・バック
05. レッツロックオン
06. FUN-KEY4-1
07. 再見Adios
08. サマージャム(ワーハピVer.)

ポカスカジャン

01. ポカスカジャンテーマ
02. ドラえもん絵描き歌
03. ガリガリ君のうた
04. 森のメリーアン
05. 舟唄 in USA
06. Let It Beかくれんぼ
07. 魚市場フラメンコ
08. ポカスカジャンテーマ

ムーンライダーズ

01. Who's gonna die first?
02. Don't Trust Anyone Over 30
03. 工場と微笑
04. トンピクレンッ子
05. ヴィデオボーイ
06. スカーレットの誓い
07. 9月の海はクラゲの海
08. BEATITUDE

GLIM SPANKY

01. ワイルドサイドを行け
02. 怒りをくれよ
03. 闇に目を凝らせば
04. 時代のヒーロー
05. NEXT ONE
06. 大人になったら

東京スカパラダイスオーケストラ

01. Paradise Has No Border
02. 火の玉ジャイヴ
03. DOWN BEAT STOMP
04. MAS QUE NADA
05. スキャラバン
06. ペドラーズ
07. Paradise Has No Border

水曜日のカンパネラ

01. ラー
02. ユタ
03. ウランちゃん
04. シャクシャイン
05. チュパカブラ
06. 桃太郎

電気グルーヴ

01. Fallin' Down
02. Missing Beatz
03. Shameful
04. Baby's on Fire
05. FLASHBACK DISCO
06. N.O.
07. 富士山
08. 虹

大森靖子

01. 少女3号
02. TOKYO BLACK HOLE
03. マジックミラー
04. 絶対彼女
05. 音楽を捨てよ、そして音楽へ
06. さようなら

METAFIVE

01. Mezzanotte
02. Albore
03. Maisie's Avenue
04. Gravetrippin'
05. Luv U Tokio
06. Split Spirit
07. Chemical
08. Turn Turn
09. Radio Junk
10. Don't Move
アンコール
11. 君に、胸キュン。

METAFIVE(Photo by TEAM LIGHTSOME)