アメリカは、以前からインターンシップが盛んな国だと言われています。これはアメリカの企業が即戦力となる人材を求めているからで、就職を希望するなら、学生と言えどもその仕事に関する何らかの経験を求められるケースが多いのです。日本でも近年インターンシップが盛んになってきていますが、その実勢はどのようなものでしょうか?

インターンシップはミスマッチをなくす手段でもある!

アメリカでは、企業側でもインターンシップに熱心に取り組む企業が多く、職務経験のない人、経験の浅い人に門戸を開いています。インターンシップを求める人と企業とのマッチングを行うWebサイトも多数あり、多くの学生が利用しているのです。また大学でも、インターンシップを行うと単位が取得できるという制度を導入し、学生の就業体験を後押しすることが多くなっています。

日本でも、インターンシップを推奨するようになってきました。新卒で希望企業に入っても、実際に働いてみると「思っていた仕事と違う」といったミスマッチが起こることがあります。インターンシップで働いてみれば、それがどのような仕事であるのか、入社する前に知ることができますからね。

インターンシップ自体はほとんどの大学で行われているが…

平成26年度 大学等におけるインターンシップ実施状況について」という文部科学省のレポートがあります。大学776校、短期大学346校、高等専門学校57校に調査した結果をまとめたものですが、学生がどのようにインターンシップに取り組んでいるかの実勢が分かります

この資料では、インターンシップとは「学生が在学中に自らの専攻、将来のキャリアに関連した就業体験を行うこと」と定義しています。ですので、学校の先生になるための「教育実習」、また「看護実習」「臨床実習」などもこの中に含まれているわけです。

まず、インターンシップを実施している大学(学部・大学院)は740校(95.4%)となっています。ほぼ全ての大学でインターンシップが実施されているのが分かりますね。直近3年間の推移では、

インターンシップを実施している大学

平成24年 719校(92.8%)
平成25年 730校(94.0%)
平成26年 740校(95.4%)

です。次に参加学生数を見てみましょう。

インターンシップ参加学生数

大学・学部 56万7,667人(参加率 22.2%)
大学院 1万2,698人(参加率 5.1%)
小計:58万365人(参加率 20.7%)

大学(学部・大学院)で参加率は20.7%に達しますので、5人に1人は何らかのインターンシップに参加し、就業体験をしていることが分かります

また、この中から「単位認定を行わないインターンシップ」を実施している大学・参加学生を抽出したデータも。日本では、まだまだ企業のインターンシップと大学とのマッチングが進んでいないと言われているため、この「単位認定を行わないインターンシップ」の中に、就職活動の一環としてのインターンシップが含まれていると想定できます。データによると、

●単位認定を行わないインターンシップ参加学生数

大学・学部 4万464人(参加率 1.6%)
大学院 1,867人(参加率 0.7%)
小計:4万2,331人(参加率 1.5%)

となっています。やはり「単位認定がないインターンシップに参加する学生は、非常に少ない」ことが分かります。就活としてのインターンシップをもっと盛んにするためには、大学の授業に就業体験を取り入れ、それを単位認定する、といった措置が必要なのかもしれません。

データ出典:文部科学省平成26年度 大学等におけるインターンシップ実施状況について」
http://www.mext.go.jp/component/b_menu/other/__ics...file/2016/03/15/1368428_01.pdf

※同上の資料内では、「『単位認定を行わないインターンシップ』とは、授業科目以外(正課外)で行われるインターンシップであり、大学等を通じて対応しているもの(大学等のキャリアセンター等が窓口となって組織としてインターンシップの紹介・斡旋(あっせん)するなど大学等が把握・関与しているもののみ)を指す」と定義されています。

(高橋モータース@dcp)