「へへ……白い米が丸見えだぜ♡」と言われながら周囲の餡を食べられ、ビクビクと震えるおはぎ。「フフッ。可愛いお尻だなぁ」と言われながら、カップケーキに酷い目に遭わされるひよ子饅頭……。

「人間を食べ物に置き換えただけで、こんなエロいこと描いてオッケーになるの……!?」

 読んでいてそんな心配をしてしまいたくなるマンガが『妄想食品館』(ドングリ/ぶんか社コミックス)だ。冒頭に紹介した話も相当な変態っぷりだが、そのほかの話は、内容を紹介するのを躊躇するほどドギツい描写が満載。このマンガ、食品が題材であるのをいいことに、普通は許されないレベルのエロい描写を、平然と描いてしまっているヤバい作品なのだ。

 本書の幕開けを飾るのは、ちくわキュウリが登場する話「ちく和姦Introduction」。穏当に引用できるセリフも紹介できる場面もないので、内容はタイトルから想像してほしいが、「これはもうエロ漫画なのでは……?」という内容だ。なおちくわは、その後も別の話で魚肉ソーセージなどからも辱めを受けている。

 また「ちく和姦 おせち編」では、ピンクのかまぼこ伊達巻が登場。ピンクのかまぼこは「淫乱ピンクかまぼこちゃん」と言われ、まんざらではなく「もぅ…伊達巻君のいじわる…」と言って頬を赤らめたりしている。一体何なんだこの話は……と思いつつ、読んでいると不思議と笑えてきてしまう。

 『妄想食品館』というタイトル通りすべてが妄想なのだが、読んでいるとピンクのかまぼこは女っぽく見えてくるし、伊達巻は名前からして男らしい。このように食品のチョイスに気が利いているからこそ、この作品の食品同士の絡み合いには変なリアリティがあるし、笑って読むことができるわけだ。

 そのほか目次に紹介されている各話のタイトルは「惨事のおやつ さくらもち編」「ドーナツ姦通式―穴が有るお前が悪い―Introduction」「天ぷら服を脱がさないで」などなど。ジャンルとしてはグルメ漫画に入る作品なのかもしれないが、これだけ変態的な内容なので、読んでいても食欲はさほど湧いてこないはず。

 もし、読んでいて性欲が湧いてくるとしたら……。あなたも変態の一員だ。

文=古澤誠一郎

妄想食品館』(ドングリ/ぶんか社コミックス)