韓国は38度線近くに位置する「ヘイリ芸術村」は、アート村として出発し、現在は様々な私設博物館が並ぶデートスポットだ。そこに「I ZONE ゲーム博物館」、「アスカゲーム博物館」というふたつのゲーム博物館があり、韓国人にとって懐かしのゲーム、つまり日本のゲームに出会えるという。彼らが異国の地でよろしくやっているのか確認しに、早速出かけてみた。


ホラーなゲーム空間が謎すぎる「I ZONE ゲーム博物館」
「I ZONE ゲーム博物館」は、入り口のエイリアンが目印。入場料を払い(5000ウォンで1時間、8000ウォンで閉店時間まで、好きなだけゲームをプレイできる)、中に入るとそこには、日本人の私も昔遊んだアーケードゲームが。

ストリートファイターII」、「鉄拳」、「バブルボブル」、「テトリス」などが並び、男たちが黙々とプレイしている。他にも「太鼓の達人」、「マリオカート」といった比較的最近の大型筐体ゲームもいくつかあり、子供たちやカップルには、そちらの方が人気のようだ。


2階には「スーパーマリオブラザーズ」をはじめとする家庭用ゲームPCゲームから、アナログボードゲームまで置かれている。壁には任天堂宮本茂や、「ファイナルファンタジー」シリーズの坂口博信といった有名ゲームクリエイターのことが韓国語で紹介されており、おおーっとなる。

さらにテンションがあがるのが地下1階だ。薄暗い階段を下ると、そこはなぜか、血糊のついた人形や骸骨、クモの巣が散りばめられたホラーな空間。奥にはご丁寧に人肉を切り刻むマネキンの姿もある。

そこに筐体が並んでおり、「ザ・キング・オブ・ファイターズ」や「メタルスラッグ」などのゲームがスタンバイ(ここにスプラッターハウスがあれば最高なのだが)。これは漫画『ハイスコアガール』に登場した幽霊ゲーセンへのオマージュだろうか?

1階とは違い、こちらには子供たちの姿はなく、ゆったりとした気分で「ギャルズパニックS」をプレイする。血糊のついたディスプレイと、画面に映る萌えイラストとのギャップがたまらない。

いろいろなゲームに手を出していたところ、あっという間に1時間が終了。マニアックなタイトルが揃っているというほどでもないが、韓国人のゲーム愛をビシバシと感じる空間であった。


ガラスケースにマニアックなアイテムも「アスカゲーム博物館」
もうひとつの「アスカゲーム博物館」は、シュレックの人形が目印。5000ウォンの入場料を払って中に入る。

入り口にいくつか筐体があるものの、こちらはコンシューマーゲームの展示がメイン。実際にプレイできるゲーム機も少しだけあるが、それよりガラスケースに入った膨大なゲームソフトを眺めるのが楽しい。

ファミコンソフトは、「ゼビウス」や「ドラゴンクエスト」といった名作から、ゲームファンなら涙なしには語れない「ボコスカウォーズ」、「たけしの挑戦状」まで! これらはもちろん、韓国語バージョンではなく日本版。韓国の人が日本語で「たけ挑」をプレイして、果たして面白いのだろうか……。

あと興味深かったのは、メガドライブの韓国版である「SUPER GAMBOY」(※GAMEではない)と「SUPER ALADDINBOY」の現物が並んでいたこと。当時、セガからライセンスを獲得したサムスンが、この名前で発売していたという。壁には「ワールドヒーローズ」のスーパーアラジンボーイ版パッケージも展示されていて興奮。


こちらの博物館も、情報を紹介するというよりは、懐かしのアイテムをざっくり見せるだけのエンタメ空間といえる。とはいえ、日本人にはおなじみのゲームを、韓国の人たちはどんな思いでプレイしたのかと想像すると興味は絶えない。

韓国の人にとって懐かしのゲームとは
I ZONE ゲーム博物館によると、展示してあるゲームは、PCゲームを除きほとんど日本のゲームなのだそう。アーケードゲームコンシューマーゲームは、それだけ日本の影響力が強かった。30代から40代の人たちにとって、思い出のゲームと言えば「スーパーマリオブラザーズ」、「ストリートファイターII」、「バブルボブル」とのことで、そんな話を聞くと日本と大差ないなあと改めて思う。

ゲームファンだった大人たちなら、感じることの多い韓国のゲーム博物館。北朝鮮の村を望遠鏡で眺められる「烏頭山(オドゥサン)統一展望台」を訪ねるついでに、足を運んでみてはいかがだろう。
(清水2000)

韓国版メガドラ、スーパーアラジンボーイ