居酒屋チェーンの「養老」が、かつて1杯200円牛丼を出していた。トリビアとしては知っていたが、20代後半のK副編集長は食べたことがなかった。そんな幻の商品が、3日間限定で販売されていると知り、2016年11月16日池袋へと足を運んだ。


やってきたのは、養老の本社ビルにある池袋南口店。12時から販売スタートだったが、その45分前に到着すると、すでに10人ほど並んでいた。テイクアウトのみで、各日限定100食。ひとり4食まで購入可だ。「10×4=40」と暗算して、ひとまず安心した。さて、肝心の牛丼は、どんな味なのだろうか――。

4050代の男性が多かった

列を見回すと、リアルタイムで「養老牛丼」に親しんだ世代なのだろうか、4050代の男性が多いようだ。また年配の女性も、チラホラ見える。ものしさか、「1食200円」に食いついたのか。


牛丼はキッチンカーで販売される。体には、なぜか「NESCAFE」の文字。養老は去年からネスレ日本と組んで、キッチンカー提供事業を行っているため、その関係なのだろう。女性店員さんから、ネスカフェコーヒーを手渡され、暖を取る。


販売20分前になって、購入個数を聞かれた。ひとりでも多くの人にいきわたってほしいと、「2個でお願いします」と告げるが、周囲はMAXの「4個」が多いようだ。結局、開始10分前には、予定個数がすべて売約済みとなった。


さっぱりした味わい

できたてを食べたいと、数十メートル先の池袋西口公園にやってきた。あわててフタを開けると、湯気芳香が立ちのぼる。タレはあっさりとしていて、もしつこくない。ちょっと固めのご飯と、シャキシャキ玉ねぎが相まって、さわやかな印だ。ものの5分でらげてしまった。


そもそも養老牛丼とは、どんな商品だったのだろう。プレスリリースによると、1977年から「間は牛丼居酒屋」の営業スタイルだった時期があり、居酒屋ではない牛丼専門店もあったという。販売終了から十数年たったが、このたび創業60周年キャンペーンの一環として、池袋南口店で2016年11月15~17日のみ販売されることになった。


吉野家もギクリとした養老牛丼

文献を調べると、日経ビジネス1978年11月20日号)に、養老牛丼参入について書かれていた。新聞が「吉野家クリ」の見出しで、牛丼ランチ参入を報じたとし、当時の吉野家社長の反応を紹介している。

「原料の、玉ネギだけでも150円はかかるんでね。人件費、熱費などを入れて200円で利益が出るとすれば立なものだ」

これに対し、養老社長(当時)の反応はこうだった。

「こちらは間、営業していない時間とスペースを利用するだけなんで200円でも十分に利益が出る。別に吉野家を意識したわけでも何でもない」

「ギクリ」の予感が的中したのか、吉野家は2年後の1980年、会社更生法適用を申請して事実倒産。その後、吉野家はセゾングループのもとで再建したが、入れ替わるように「養老牛丼」は姿を消していった。


キン肉マン」「めしばな刑事タチバナ」といったマンガにも登場する養老牛丼。最近では「吉み」のように牛丼店が居酒屋化しつつあるが、養老では30年前もく、その逆を行っていた。今回は3日間、1店舗だけの限定販売だったが、いまレギュラー販売をしても、意外と時代に合うかもしれない。


これが、養老牛丼だ!