「生まれてこの方いちども異性とつき合ったことがない」という男女が急増する一方で、「恋愛は面倒、時間と労力のムダ。一気に結婚だ!」という若者が出現しているらしい。
ある女性が今月、ブログで結婚相手を募集。しかも容姿・年齢・年収は問わないとのことで話題となり、11月24日「クローズアップ現代プラス」(NHK総合)が「いきなり結婚族」なとど特集すると、ネットではたちまち賛否両論。物議を醸していた。(文:okei)
結婚相手をネット募集「子供が欲しいから結婚はしたい」番組では、男女9人で東京都内のシェアハウスで暮らすタエコさんを紹介。仕事もプライベートも充実しているが、「子供は欲しいので結婚したい」といい、そこからブログで相手を募集するに至った。同居する7人の男性たちは兄弟のようなもので対象にならないとのこと。
「結婚してから一緒に住めるパートナーは、必ずしも好きになってドキドキする人じゃなくて、(シェアハウスで)共同生活を一緒に過ごしていけそうだと思える人の方が大事」
という口調からは「ダメなら離婚すればいいし」という本音も感じる。募集には男性25人から申し出があったという。
また、婚活アプリで結婚相手を探す26歳の女性も。介護職で年収は200万円あまり。結婚したい理由を「家計の負担をシェアすることで、安定したいから」と語る。40代の男性2人が候補に挙がっているそうだ。
番組ではさらに、告白したLINE画面を拡散されてしまった男子大学生や、自らを「喪女」(モテない女)と称して女性向け恋愛コミックでときめいている20代の女性も紹介されていた。若者の「恋愛離れ」の一因として、「SNSによる監視社会」や、二次元(漫画やアイドルなど)での発散などがあるという分析だ。ストーカーやDVなど、様々なネガティブ要因が噴出していることも指摘していた。
しかし社会学者の山田昌弘さんは、とりわけ「若い世代の経済的余裕の無さ」をあげている。ゲストの春香クリスティーンさん(24)は、「恋愛は時間とお金、感情の起伏の無駄」と正直すぎる発言をしていた。若者が恋愛を謳歌した25年前とは、明らかに世相が違うのだ。
これに対し、視聴者からはツイッターでこんな批判的なコメントがあがっていた。
介護や長期の看病なんかは多少ビジネスライクな方がいい?「『子供を産みたいから結婚はしたい』 ほぉぉ~。 人生そんなに甘くないわよ」
「これ、結婚がしたいのではなく、ATM夫がほしいだけでは。というか、自身の年収アップか」
「恋愛というか愛情がなきゃ添い遂げることなんて出来ないんじゃない?もしお互いに何かあったらコスパ悪いから別れるの?」
一方で、「そもそも昔は見合いが当たり前。そこに立ち返っただけ」という見方も多い。むしろトゥギャッターのまとめを見た人のコメントは、ほとんどが共感・肯定的だった。
「そもそも結婚と恋愛が紐付けされたのはここ30年くらいのことだし、(中略)恋愛をしないと結婚ができないなんて、五十年くらい前に提唱したらみんなぽかんとするよ」
「人間性も性行為も否定され排除され、ただただ効率だけが求められる国にしたのだから別段不思議もないよ。日本など元から見合い結婚が多かったろうし。『結婚したい奴が増えている』のならある意味明るい話だ」
「恋愛感情がなくても結婚はできるし、愛情は生まれるし、家族にはなれるんですよ。あと、介護や長期の看病なんかは多少ビジネスライクな方が相手にも自分にも負担が少なくて楽ですよ」
「恋愛できるのは一部の人の特殊技能」とまで言う人も。なまじ「好き」から入ると言いづらいことも出て来るが、結婚はシステム・契約だと冷静に捉えればやりやすいこともあるだろう。「契約結婚」を描いたTBSドラマ、「逃げるは恥だが役に立つ」が受けているのもそういうところでは。
結婚しても独身でもいいことばかりではない。世知辛い世の中を孤独のうちに過ごすより、「結婚だけ」したくなっても誰に文句を言われる筋合いはないだろう。結局本人が選び、そこでどう生きるかという問題なのだから。
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