親としては子どもに読書好きになってもらいたいものですが、アニメやゲーム、ネット動画など、親世代の時代よりも手軽な娯楽が増えた今、自ら進んで読書をする子どもは多くはありません。

12日中旬、発言小町で「読書嫌いの子供に読書を無理やりさせるべきでしょうか」というトピックが立ちました。トピ主は小学校高学年男子の母親。息子はとにかく読書が嫌いで興味がない、幼少期から絵本の読み聞かせも聞いてくれず、楽しいのは外遊び。愛読書はコロコロコミック、ゲームと動画が大好きとのこと。

母である自分は読書好きなので本の楽しみを知ってほしいけれど、「無理強いするのも?」と迷いがある様子です。(文:篠原みつき)

「息子さんは、あなたの所有物ではありません。思い通りにいく訳無いでしょ」

ちなみに、成績は国語だけが平均でそれ以外は評価A。理数好きで、テストでも国語を含めて良い点を取れるので、本人に危機感はないそうです。それでもトピ主は「皆様のお子様がこのような『読書嫌い』の場合、見守りますか?口を出しますか?」と問いかけています。

これに対して、「無理やり読書させるべき」と答えた人は全くいませんでした。

「息子さんは、あなたの所有物ではありません。思い通りにいく訳無いでしょ。流行りの毒親になりたいの?」
「読書は娯楽であり趣味 無理強いするのは何の為でしょうか?」

など、厳しいコメントも複数ありました。「本を読むと、頭が狂うと言って、うちの子は何が何でも本を読みません。国語は5です」というツワモノも。無理に読ませなくてもいいのだなと思えます。

アドバイスとして多かったのは、「無理強いは良くないし出来ないが、それとなく環境を整える」というものです。子どもの関心に合わせてタイミングよく与えていくのだそうで、理数好きなら「面白科学エッセイ、元素図鑑、歴史漫画、数学ミステリーなど読ませてきました。読みなさいというのではなく、半歩先にそっと置いておくという感じですね」との声は参考になりそうです。

斎藤孝教授の「ある程度無理やりでかまいません」の真意とは

一方、このトピックにはありませんが「子どもが自分から本に手を伸ばしてくれるのを待っていてはいけません」という識者もいます。「声に出して読みたい日本語」(草思社)などの著書で有名な斎藤孝教授(明治大学文学部)は、著書「子どもの学力は『読解力』で決まる!」(朝日新聞出版)の中で、子どもの自主性を重んじていつか自分から読んでくれると期待したり、親が読書する姿を見せたりということはあまり関係がないと書いています。

名作リストを作って促し、読まなければ親と一緒に音読したり、読み聞かせのときに一文ずつ交互に読んだり、「ある程度無理やりでもかまいません」とのこと。

「親のすべきことは、子どもが読書に向かう環境をきちんと作ってあげること、そしてそこにちゃんと追い込んであげること、できたらしっかりとほめて次の作品を手にできるようにしてあげること」

この繰り返しを肝に銘じておいてくださいね、と親を励ましています。

つまりここで言う「無理やり」には、親の努力も含まれます。一緒に取り組む気持ちや時間が親に足りない場合は、子どもにだけやれと言っても無理があるでしょう。多くの返信レスにもあったように、親のできる範囲で読書環境を整えてあげれば良いのではないでしょうか。

書き込みの中には、とくに仕向けたわけでもないのに読書大好きという息子さん(小2)を持つお母さんからこんな声もありました。本当はスポーツマンになって欲しくてあれこれスポーツをやらせて頑張っているものの、「でも、本人が好きじゃないので全然ダメなんです。なので、諦めました。子どもは自分が好きなことを勝手にやります」。結局これがすべてかなあとも思います。

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