小中学校でおこなうプログラミング教育の授業づくりのために、大阪市が協力事業者を募集している。ところが、事業者に報酬を支払わない「無償」であることから、ネット上で「奴隷を募集しているのか」などと批判の声があがった。市教育委員会の担当者は、弁護士ドットコムニュースの取材に対して「手探りで準備している中で、惑わせてしまったかもしれない」「ブラック労働にならない」と釈明した。

●「こんなに反響があると思っていなかった」

文部科学省は昨年、2020年度から小学校でプログラミング教育を必修化する方針を示した。市教育委員会教育センターの担当者によると、この方針に合わせて、授業づくりや体験学習、教員の研修などをスタートさせる必要があり、今年1月11日から協力事業者の募集をはじめたところだった。

大阪市がホームページに掲載した募集要項には、次のように書かれている。

「授業づくりへの協力や教材・ソフトの提供、教員の研修等を、無償で実施できる民間事業者を募集する」

「人件費、消耗品費、教材費(電子機器貸与料含む)、交通費等のすべての経費は事業者の負担とする」

「業務を遂行するために必要な経費について、本市は一切の費用を負担しない」

事業者に対して報酬が支払われないことから、ネット上では「奴隷を募集しているのか」「とてもひどい内容」といった批判の声が相次いだ。担当者は「こんなに反響があると思っていなかった。手探りで準備している中で、惑わせてしまったかもれない」と口にした。

●「ブラック労働にならない」

担当者によると、大阪市ではこれまでも市立中学校の一部で、ロボット(計測制御)を動かすプログラミング教育がおこなわれてきた。しかし、ほとんどの市立小中学校で十分な授業や教員養成ができておらず、2020年度の本格導入に向けて準備する必要があった。

そのため、すでにプログラミング教育をおこなっている協力校で、教材用として購入しているロボットを利用しながら研修をすすめ、事業者のほか、大学の研究者などから意見を聞いたうえで、再来年度から本格的に予算化しようと計画していた。

今回の募集では、すでに教材用ロボットを納入しているような事業者を想定しているという。また、事業者は、授業そのものを担当するわけでなく、あくまでロボットに関するノウハウやサポート・アドバイスをする役割が期待されているという。

ネットの反響を受けて、市民から「無償で良いのか?」という問い合わせたがあったそうだ。担当者は「『被害者が出てからでは遅いです』『ブラック労働になって大変な問題になる』というご批判があるが、そういうことにならない内容だ」と強調していた。

(弁護士ドットコムニュース)

大阪市プログラミング教育「無償協力者」募集、市教委「ブラック労働」ではないと釈明