政府が長時間労働の是正に取り組む中、そもそもの法定労働時間の「1日8時間」に疑問を抱く人たちもいるようだ。2月2日には、はてな匿名ダイアリー「社会人破綻してない?」という記事が投稿され、話題を呼んでいる。

投稿者は、10時~19時が定時の仕事に就いている。少し残業して19時30分に仕事が終わったとすると、帰り道に食材の買い物をして、家に着くのが21時。仕事で疲れているので少しダラダラしたら22時になってしまう。

「シャワー浴びて髪乾かしたりして23時やん? ご飯作ったら23時30分やん? TV観ながらご飯食べたり酒飲んだら0:30やん? 歯磨いて寝付くの1時やん? でも翌朝10時に出社するには通勤1時間として7:30に起きないとあかんやん?」

そして、この一連の流れは、最後にこう締めくくられている。

「社会人破綻してない?」

「労働は一日二時間が適正」「仕事家事育児以外の時間が20分しかない」

投稿者の生活は典型的な都会で働く単身者といった感じではある。帰宅後に1時間だけダラダラしているという部分はあるが、確かに、やることをやったらあっという間に一日が終わってしまう。

この投稿に対し、はてなブックマーク、コメント欄には共感する声が相次いだ。

「私が書いたのかと思ったくらいほぼこれと同じ生活サイクル…!」
「ほんこれ。仕事してると一日が終わってダラダラする暇もない。労働は一日二時間くらいが適正」

中には、「19時半に帰れるというのは恵まれてるほうではある」という声も。長時間残業が常態化しているような会社であれば、もっときついだろう。同じような時間に帰宅できたとしても、育児をしていればダラダラできる時間はなくなるし、「仕事と家事育児以外の時間が20分ぐらいしかない」という人もいた。

また、厚労省は月80時間の残業を「過労死ライン」としているが、仮に過労死しなくてもそれだけ働けば「私生活が破綻する」という指摘もあった。

「私生活の破綻はそのまま精神の破綻に繋がる。時間は金で買え?馬鹿言ってんじゃねぇ。その時間を買うための金もないから破綻してんじゃねぇか」

8時間労働が世界で初めて法制化されて100年、まだ同じ時間働くの?

そもそも、「1日8時間労働」はどういった背景があって定められたのか。社会保険労務士の川嶋英明さんが事務所サイトで法定化の経緯を説明している。

欧米で産業革命が起こったとき、労働者の労働時間は1日10時間から16時間もあった。しかし、こうした労働環境は人間によくない、ということで19世紀初頭に英国で1日8時間労働が提唱されたという。

その100年後、1917年にロシアソビエト連邦社会主義共和国で「1日8時間労働」が世界で初めて法定化された。日本では1947年に労働基準法が制定された際に1日8時間が最長労働時間と定められたという。

つまり、今年はソ連で1日8時間が法定化されてちょうど100年ということになる。はてなブックマークにも

「考え直すにはいいタイミングだよね。機械化やIT化で飛躍的に生産性が上がってるのにいまだ同じ時間働いてるのはおかしい」

という声が寄せられていた。

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