溌剌とした姿や眩しい笑顔で、日々、私たちに元気を与えてくれるアニメのヒロインたち。

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しかしながら、アニメヒロインは、屈託のない眩しい女の娘たちだけとは限りません。自堕落でずぼら、そして、やさぐれた態度でだらしない言動を繰り返す……そんな"ぐ〜たら系ヒロイン"とでも呼ぶべき、女の子たちもいるのです!

生活力、生産性、共に皆無。しかし、そこが良い!誰も彼もが頑張り過ぎ、過度な努力を要求する現代社会において「もしかしたら、こんな生き方も有りなんじゃないか……」という安堵と癒やしを与えてくれる……。

そんなぐ〜たら系ヒロインに惹かれてもいいじゃないか、人間だもの。今回は、可愛らしい外見と内面のギャップが堪らないアニメヒロインたちをご紹介します。

天界では才女、地上では駄天使『ガヴリールドロップアウト』のガヴリール

現在好評放送中のアニメ作品の中で、その圧倒的なグータラさで異彩を放つキャラクターが、『ガヴリールドロップアウト』の主人公、ガヴリールです。

そもそもは、天界にある「天使学校」を主席で卒業する程の才女だったガヴリール。しかし、修行の為に降臨した人間界で、たまたまプレイしたネットゲームにハマってしまったことから、彼女の健やかな生活は一気に崩壊します。

昼夜を問わずにゲームをし続け、天使としての性分も使命も忘れて、ひたすらにグータラな生活を送る「堕天使」ならぬ「駄天使」へと堕ちてしまうのです。

そんな彼女の周囲に集うのは「生真面目な悪魔」や「加虐趣味のある天使」など、人間が天使と悪魔に持っているイメージが物の見事に反転した癖のある女の娘ばかり。そんな彼女たちと共に、駄天使ガヴリールの自堕落かつ騒々しい日々が幕を開けます。

ガヴリールドロップアウト』は、動画工房が送る今冬の新作アニメです。監督は、太田雅彦さん、シリーズ構成に、あおしまたかしさんの『ゆるゆり』(テレビシリーズの一期及び二期)コンビを迎えた本作は、放送開始前から今期の期待作として話題を集めていました。

本作の最大の見どころは、そのタイトル通り、天使であるガヴリールの「落ちっぷり」にあります。

元々は、優しくおしとやかな性格であったにも関わらず、所謂「ネトゲ廃人」と化してからは、とにかく何をやるにも無気力で、ひたすらずぼらな性格へと変貌。生活の荒み具合に比例して、内面も歪んでしまったのか、終始やさぐれた態度を取る……という、目も当てられない惨状に。

天使であるにも関わらず、駄目人間そのものな生活態度と斜に構えたものの見方で人間界を生きるガヴリエール。そのギャップは、本作におけるコメディの肝であり、笑いどころです。

動画工房作品らしいアニメーションの豪華さも含めて、これから楽しませてくれそうな『ガヴリールドロップアウト』。2017年冬アニメの要注目作として、未見の方にもチェックをしていただきたいと思います。

ぐ〜たら妹…駄女神さまに祝福を!

家ではグータラ中のグータラな干物妹! 『干物妹! うまるちゃん』の土間埋

こちらも『ガヴリールドロップアウト』と同じく「動画工房×太田雅彦×あおしまたかし」による2015年作、『干物妹! うまるちゃん』より、主人公の土間埋(どまうまる)をご紹介させていただきます。

うまるちゃん」こと、土間埋は、容姿端麗、学業優秀、まさに非の打ち所がない完璧(パーフェクト)超人な女子高生ですが、それはあくまで家の外での話。帰宅するやいなや、お気に入りのパーカーに身を包み、ゲームや漫画などの自分の趣味に没入して自堕落な生活を送る「干物妹(ひもうと)」へと大変貌を遂げます。

その変貌ぶりたるや凄まじく、何と頭身すら変わってしまう程! 最早、別人としか言いようがない驚きの大変身をするうまるちゃんなのです。

物語は、基本的にうまるの我儘し放題な極度のグータラっぷりと、そんな彼女を真人間へと矯正しようとしつつも、妹が可愛いが故に、ついつい甘やかしてしまう兄、大平(たいへい)とのコミカルなやり取りを中心として進行します。

自由奔放(かつ自堕落)な言動で兄を困らせるうまると、そんなうまるに振り回され続ける兄。視聴者は、時に、うまるの度を越した自己中心っぷりに焦れったい思いを懐きつつも、何だかんだで妹を思いやる兄の姿に微笑ましい気持ちになってします。

ちょっと不思議で、でも、何だかちょぴり羨ましい。そんな兄弟の姿は、本作の一番の見どころです。

外では完璧超人、家ではグータラな干物妹なうまるちゃん。そのギャップがチャームポイントな『干物妹うまるちゃん』は、コメディアニメの良作です。

自堕落な駄女神だけど、そこが良い! 『この素晴らしい世界に祝福を!』のアクア

昨年、アニメファンから大きな話題と高い評価を集めた『この素晴らしい世界に祝福を!』も"グータラヒロイン"が魅力が光る作品です。

「個性」と呼ぶにはアクが強過ぎる強烈なキャラクターが次々に登場する『このすば』ですが、中でもそのグータラかつテキトーな性格で、ファンから愛される存在となっているのが、ヒロインの一人であるアクアです。

アクアは、実は女神様なのですが、(非常に情けない死因によって)この世を去った主人公、和真の巻き添えを食う形で異世界へとやってきてしまい、なし崩し的に彼とパーティを組むことになります。

女神様というと神秘性や慈愛に満ちたキャラクターを想像しますが、このアクアは、グータラでテキトーなお調子者であり、更に、飲み食いに対する意地汚さや普段の言動における品のなさといった、様々なマイナスポイントを持ち合わせた駄目な女神……略して「駄女神」です。

その可愛らしい外見やプロポーションの良さと相反する悪徳塗れの内面を持つアクアは、まさに、「残念美人」の称号が相応しいヒロインといえます。

しかしながら、そんなダメダメさ加減が、アクアがファンから愛される所以となっているのです。女神なのに怠け者、女神なのに肝心なところで役立たず、女神なのに飲ん兵衛、女神なのにトラブルメーカー。そうしたギャップは、アクアというキャラクターが持つ魅力に直結しています。

このすば』の舞台となっているのは、RPGゲームのような街並みと文明を持つファンタジー世界ですが、そこで胸が高鳴るような主人公の冒険譚が始まるかというと、然にあらず。肉体労働や懸賞金目当てのモンスター討伐など、主人公一行が日々の食い扶持を稼ぐ為に逞しく生き抜く妙に生々しい日常が描かれます。

一見すると、正統派のファンタジーのようでいて、その実、ファンタジーのお約束事を尽く外してみせる。その脱臼感覚こそが『このすば』という作品の笑いどころであり、作品の持ち味です。

そして、アクアというギャップだらけな女神様の存在は、そうした『このすば』のパロディ的な作品性を強く体現しているといえます。現在、好評放送中の第2シーズンでの大活躍(?)にも期待大です!

手のかかるお嬢様&神様は好きですか?

生活感に満ちただらしない姿が魅力です! 『かんなぎ』のナギ

このすば』のアクアを紹介したところで、次にその名前を挙げておきたいのが、『かんなぎ』のメインヒロインを務めるナギ様です。

武梨えり先生の同名コミックを人気アニメスタジオの「A-1 Pictures」がアニメ化した本作は、アニメーションの高いクオリティに加えて、戸松遥さんが歌うオープニング曲『motto☆派手にね!』もヒットを記録。当時、アニメファンの間で話題を読んだ作品であり、2012年にはブルーレイボックスもリリースされました。

主人公、御厨仁の前に突如として顕現した自称「産土神(うぶすながみ)」の少女、ナギと周囲の人々の交流を描く、ほんのりファンタジックで、尚且つ妙に生活感に溢れた作風が特徴で、ナギ様も非常に人間臭い……良い意味で、俗っぽいキャラクターとして描かれています。

お菓子を食べつつダラダラテレビを観たり、やたらとゴロゴロしてみたり、時には、拗ねて押入れに立て籠もってみたりと、全く持って神様らしくない、子どもっぽく、だらしない姿が強調されたシークエンスが多く、普段の言動と「(自称)神様」というギャップがアニメファンを魅了しました。

妙にフェティッシュなカメラワークで切り取られるナギ様の日常描写は、神としての存在感とはかけ離れたものであり、非常に身近な存在感と親近感を抱かせてくれます。

主人公の前に突然、美少女が現れる所謂「落ちもの」なラブコメ作品としてスタンダードな作りながらも、同時に、『ドラえもん』などに代表される「居候キャラ」が巻き起こすコメディとしての普遍的な魅力も持ち合わせている点が『かんなぎ』のおもしろいところです。

2000年代のアニメ作品における良作の一本として、若いアニメファンの方にも観ていただきたい作品です。

ハイスペックなのにひきこもり気味の超ニート『ハヤテのごとく!』の三千院ナギ

畑健二郎先生による『週刊少年サンデー』連載作をアニメ化した『ハヤテのごとく!』。本作で、そのグータラさで何とも愛らしい姿を見せてくれるのが、メインヒロイン三千院ナギです。

本作は、2004年の連載開始以来、4シリーズに渡ってテレビアニメが制作され、劇場映画やOVAも展開されるなど、アニメでも人気を博しました。

三千院ナギは、大金持ちのお嬢様。アニメ版では、人気声優の釘宮理恵さんが声を担当しており、「ツンデレキャラ」の代表格として2000年代の半ばに人気を集たキャラクターです。

同じく釘宮さんが声優を務めた『灼眼のシャナ』のシャナ、『ゼロの使い魔』のルイズと並び、アニメ、声優ファンの間に「釘宮病」という熱狂的なムーブメントを巻き起こしたヒロインの一人としても知られています。

飛び級で高校に入学できる程の高い知能と莫大な財産を持ち、豪邸で何不自由なく暮らしているナギですが、それ故に、幼い頃から幾度となく誘拐の危機に晒され、やがて極端に人とのコミュニケーションを避けるようになってしまいます。

そんな彼女がハマったのが漫画やゲームといったオタク趣味の数々。他人との交流を避けがちな性格に、オタク趣味への没入が加わったことで、結果的に不登校気味となり、一日の大半を家で趣味に費やして過ごす、ひきこもりな生活を送ることに。

一方で、持ち前の知力と財力、そして財テクのセンスを活かして、株の運用で利益を上げるなど、オタクなグータラお嬢様のようで、意外にシッカリしたところもあるところが、ナギのおもしろいところです。

極端に労働意欲が低く、ただただダラダラしているようにしか見えないにも関わらず、その実、大金を稼ぐ術と能力を持ち、更に、お屋敷の中で従者に支えられ、自身の趣味に全力で向かい合うことができる、ナギが生きる日常は、まさにオタクにとっての「夢」であり「理想」の生活です。

そんな羨ましい日々を送るナギも、本作の主役でありロマンスの相手でもあるハヤテが、他のヒロインと仲良くしている姿を観ると露骨に不機嫌になるなど、年相応の女の娘らしい感性を持ち合わせているのが微笑ましいところ。

これからもそのツンデレっぷりでこちらをニヤニヤさせながら、ダラダラし続けて欲しいものですよね。

© 2017 暁なつめ・三嶋くろね/KADOKAWA/このすば2製作委員会