諸説ありますが適正年収は、年齢に15万円をかけたものといわれています。25歳ならば、375万円、30歳ならば450万円、40歳ならば600万円となります。いまどきこれだけの年収をもらっている人はかなり限られてくるのではないでしょうか。そうした社会において、もうひとつのありかたが、あくせくしない生き方、スローライフです。

年収90万円の生活

とはいっても、年収150万円や、200万円では満足な生活はできません。家賃の支払いや奨学金の返済などがある人はなおさらでしょう。ですが、わずか年収90万円で本人にとって満足のいく暮らしをしている人がいます。大原扁理『年収90万円で東京ハッピーライフ 』(太田出版)には、その生活の実際のところが記されています。

東京暮らし

驚くべきことに、著者は田舎で自給自足の生活を送っているわけではありません。東京の多摩地区に住み、家賃2万8千円の部屋に住んでいます。多摩地区は大学が多くあるので、3万円台からバストイレ付きの物件があります。その中でも著者の住む物件は格安であるといえるでしょう。さらに、食費は玄米菜食を中心に取っているため、1日300円ほどです。家賃と食費だけでなく、趣味にもお金をかけていません。生活費や娯楽費を切り詰めているのではなく、結果的にこうなったというスタンスを保っているところでしょう。結局のところ、日常生活のストレスや他人との比較などから、人は無理をしてしまうところがあるのかもしれません。

楽観性が大切

著者は、現在の暮らしを続けるコツを楽観性に見出します。いまは20代ですが、今後年齢を重ねて健康に問題が起きたらどうするのだといった点はあまり考えず、適度な運動と食事により健康を保っていく、そうした身近にできるところから実践を始めているのです。