一人っ子になるのは事情があります。なかなか二人目以降を妊娠しない“二人目不妊”だったり、経済的事情だったり…。

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そんな変えられない状況について、他の人から意見されたら嫌ですよね。

だったら一人っ子のメリットにスポットを当てて、一人っ子に不足しがちなことを補えばいいのです。

『1人でできる子になる 「テキトー母さん」流 子育てのコツ』の著者の立石美津子が詳しくお伝えします。

一人っ子の割合はどれくらい?

地域により差がありますが・・・「平成24年版 子ども・子育て白書」(旧・少子化社会白書)によると

少子化に伴い一人っ子の家庭も増えてきました。子どもの人数別にみた集計では、現在「2人きょうだい」が最多で56.2%。実はこれ、ここ40年間にわたってほとんど横ばいの状態です。2010年調査によると15.9%が一人っ子で年々増えています。

一人っ子のデメリットと言われていること

一人っ子だとこんな風に言われてしまうことがあります。

わがままになる

一人っ子はわがままだ。家庭では親に自分の要求を何でも聞いてもらえて王様状態になる。自分の思い通りに生きられる環境にいて身勝手になる。

競争心がなくなる

食べたいお菓子も、夕飯のおかずも、玩具で遊ぶのも、テレビのチャンネル権もお風呂に入る順番も、誰かと競争する場がない。だから闘争心や対抗意識を持ってガツガツと「誰よりも早く行動せねば!」とはならず、のんびり屋さんになってしまう。

幼稚園、保育園、小学校と集団生活に入ってから子どもが戸惑う。

期待が大きくなる

一人っ子で、しかも初孫の場合、期待を一身に受けて荷が重くなる。「蝶よ花よ」と大切に育てられる。親や祖父母らの過保護、過干渉が加速する。

大人の中で育ちいい子を演じる

周りに子どもがいない分、大人と接する機会が多くなる。まだ人生経験が短いのにも関わらず、まだ子どもなのに大人社会を学び、周りに合わせて話をする術を身に付けたりする。大人びた感じ。

また、“とても扱いやすいいい子”に見えたりする。「おりこうさんね」と褒められ、真の自分の気持ちを抑えて、気に入られる子を演じたりもする。

でも、本当にこんな風になってしまうのでしょうか?

一人っ子のメリット

一人っ子だからわがまま、競争心がないなどマイナス面ばかりがクローズアップされることが多いですが、そんなことはありません。

自分の思いを認めてもらえる

自分がやりたいことを認めてもらえる。

不本意に兄弟姉妹におやつや玩具をいきなり奪われることもないので、安心した環境の中で落ち着いて過ごすことができる。

愛情を独り占めできる

赤ちゃんが出来て周りの関心が下のきょうだいに行くこともない。王座を奪われることもないので大人の気を引こうと赤ちゃん返りする必要もない。

親や祖父母らの愛情を一心に受けることができ、精神的に安定する。

お金をかけてもらえる

きょうだいがいると、習い事をするのも経済的事情から「お1人様につき1つまで」などと制限されることもあるが、お金の余裕があるので1人で複数の習い事に通わせてもらえたりする。

一人っ子のデメリットを補う工夫とは?

デメリットをカバーするには

分析してみると、メリットは裏を返せばデメリット。デメリットは裏を返せばメリットのように見えます。

そこで、一人っ子に不足しがちなことを補う工夫をしましょう。

異年齢の子どもがいる環境に入れる

家庭で異年齢の兄弟姉妹で接することが少ない分、次のようにしてみるのもよいかもしれません。

幼稚園、保育園選びのとき縦割り保育(異年齢が同じ空間で保育を受ける)をしている園を選ぶ親しいママ友の家に月に一回くらいお泊りをして、大勢の子どもの中で生活させてみる親戚でいとこがいたら、出来るだけ交流を持たせる

児童館、公園に連れて行く

児童館や公園に連れて行って、他の子ども達と触れ合う機会を意識的に増やすことも必要です。でも、せっかく目的があって連れて行ったのにも関わらず、次のようにしては意味がありません。

喧嘩もしていないうちに「うちの子は普段、集団に慣れていない。だからトラブルを起こしては大変だ」と最初から「喧嘩しないで仲良く遊ぶのよ」と釘を刺す。子ども同士喧嘩になったときも「やめなさい、仲直りしなさい、譲ってあげなさい」と直ぐに出てきて仲裁する

こんな風に親が先回り先回りしてしまったら、せっかくのコミュニケーション能力や社会性が育つ機会がなくなってしまいますね。

経験できない諍いをあえて体験させましょう。そばにいて見守るだけで、後は子どもたちに任せて放っておきましょう。

欲しいものがあっても我慢させる

抱っこしたり、スキンシップしたり愛情をたくさんかけてもらえるのは一人っ子のメリットです。甘えられるよい環境です。

けれども、欲しがれば玩具を湯水のごとく与える、菓子を好きなだけ買い与えるなど、なんでも要求を聞いたりする愛情表現は、甘えさせてやることではなく、甘やかしです。

また、子どもが欲しいとねだってもいないのに、あれこれ玩具や菓子を買い与えると“飢えてほしがる体験”ができなくなり、物欲が乏しくなってしまいます。

親がその役割を演じる

ママがきょうだいの役割を演じましょう。

例えば、おやつにショートケーキモンブランを買ってきた時、きょうだいがいたら「私はショートケーキがいい!」「僕もそれを食べたいのに!」と喧嘩になります。

一人っ子の場合はこういうチャンスがないです。ですから、いつも優先権を子どもに与えず、子どもが取ろうとする前にさっと「ママ、イチゴ好きだからショートケーキ食べる!」と言って取ってしまいましょう。

また、たとえば外食のときに子どもが「マクドナルドに行きたい」と言っても、「ママはお蕎麦を食べたいから今日はお蕎麦屋さんに行くよ」と断りましょう。

なんでも自分の思い通りにはならないことを、あえて経験させるのです。

まとめ

二人目不妊、ママの仕事の復帰、経済的事情、親の価値観など、ざまざまな事情で一人っ子にならざるを得ない状況があります。「一人っ子だからわがままになる」と決めつけないで、それをカバーする環境を与えてやればいいのです。

兄弟姉妹が多くてもわがままであったり、全く競争心がない子もいます。要は各家庭の対応の問題なのです。今ある環境で、出来ることから始めてみましょうね。

<参考>小学館ファミリーネット「少子化特集 [1] 「産まない人」が増えてるの? 「産む人数」が減ってるの?」