昨年大ヒットとなった映画『君の名は。』の主題歌、『前前前世』が人気爆発中のロックバンド「RADWIMPS」のボーカル・野田洋次郎(31)が、テレビドラマ初主演を務めることが分かった。4月からテレビ東京系で新設される木曜日の深夜1時枠で、青野春秋氏原作の漫画をドラマ化した『100万円の女たち』の主人公・道間慎役を演じる。また、同ドラマは地上波放送だけでなく、映像配信の大手であるNetflixとのタッグにより、全世界にインターネットでも配信される。今作が初となる革新的な試みだけに、野田洋次郎の演技力にも注目が集まっている。

 野田といえば、2015年に映画『トイレのピエタ』で俳優デビューながら初主演を務め、日本アカデミー賞新人俳優賞を受賞するなど、役者としてもその才能を遺憾なく発揮している。同作で野田が放った独特のオーラが今ドラマにもマッチすると見込まれ、抜擢された格好だ。しかし、制作陣からの半ば強引な依頼だったという話もあり、野田もその期待に応えるべく意欲を燃やしていると語っているものの、役者に対するモチベーションがあるかというと微妙なところなのだとか。

「『君の名は。』の音楽を務めたことで、業界内の評価もさらに高まり、今年は各方面で引っ張りだこになることが予想されています。特に最近では、楽曲プロデュースの仕事も増えていますから、RADWIMPSの活動も含めて多忙を極めることになるでしょう。長期に渡ってスケジュールが拘束される連続ドラマの主演は、本人も進んでやりたくはないそうなのですが、今回はギャラがよかったから引き受けたというのが内情のようです」(音楽関係者)

 今作で演技の評価をさらに上げることになれば、野田の意思に反して、役者としてのオファーがさらに増えることになるかもしれない。

■女性ファンを取り込むある狙い?

 昨今テレビ界では、ミュージシャンのドラマ主演が盛んになっている。2016年最大のヒットドラマともいわれる、『逃げるは恥だが役に立つ』(TBS系)での星野源(36)の演技がお茶の間で大旋風を巻き起こしただけに、下手なイケメン俳優を起用するよりも数字になると踏んだ各局が、その二匹目のドジョウを狙おうと躍起になっている。しかし、他にも違う理由があるという。

「星野は『逃げ恥』での、ウブな役柄が女性層をキュンキュンさせましたが、実際本人が独身であったことも大きかったでようです。野田も未婚とあって、女性ファンの取り込みに大きな期待が寄せられているということです。今後もしばらくは、各局が独身ミュージシャン俳優を起用する傾向が続くでしょうね」(テレビ局関係者)

 今年の1月期のドラマでは、月9ドラマにロックバンド・flumpoolの山村隆太(32)が主演を務めたことが話題となったものの、その“棒演技”がネットで叩かれている。そちらのパターンになる可能性もあるが、果たして野田は“第二の星野”となれるのだろうか。

文・安藤美琴(あんどう・みこと)※1974年東京都出身。大学在学中にフリーライターとして活動を始め、『東京ガールズジャーナル』(セブン&アイ出版)、『パチンコ攻略の帝王』などに寄稿。現在は女性向け読み物系の記者・編集者として活躍中。
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