「おっめえ、つええなあ! オラ、わっくわくすっぞ!」

 文字だけでも頭の中で声が再生される、この独特なしゃべり。アニメドラゴンボール』の孫悟空かと思いきや、頭に浮かぶ顔はちょっと違う。長身+オレンジ色のパーマヘアにメガネ、鼻の穴をなぜか黒々と書いた顔が浮かんでくるという人も今、少なくないのではないか。

「オッス、おら、野沢雅子。『ドラゴンボール』の孫悟空の声でおなじみ、御年80歳の、でえベテランだ」

 これは、孫悟空の声優・野沢雅子モノマネでじわじわ人気となっている芸人・アイデンティティ(田島直弥)のコントである。

 昨年秋頃から『じわじわチャップリン』(テレビ東京系)などで、じわじわと人気が上昇し、『R-1ぐらんぷり2017』決勝では敗者復活枠から勝ち残れず、待機場所で自己紹介をしただけだったにもかかわらず、その強烈なインパクトから、赤江珠緒に「いちばん印象に残った芸人」として挙げられていた。また、審査員の清水ミチコも「天才的」と評価している。

 しかし、その一方で気になるのは、現在放送中のアニメドラゴンボール超』(フジテレビ系)を見ているとき。

 どういうわけか、不自然なくらい悟空が「わっくわくすっぞ」というセリフを連発する印象がある。

 ときには、悟空の「わっくわく」に対して、問いかけるように破壊神ビルスも「わくわく」と言いだし、2人の掛け合いで「わくわく」の言葉が3連発くらいになる回もあった。

 また、悟空の言葉が第77話(2月5日放送分)では、「でえじょうぶか?」というセリフはともかく、「今回の土産」に関するウイスとの会話において、こんなやりとりまであった。

悟空「えっと……でえふく(大福)さ」
ウィス「え? でえふく(大福)なら、先日いただいてますよ」
悟空「おっ、じゃあ、豆でえふく(豆大福)だ」
ウィス「それはまだ食べたことがありませんねえ」
悟空「ああ でえふく(大福)なんかよりめったに食べらんねえ」

 さすがに、「おまえ→おめえ」「大丈夫→でえじょうぶ」くらいならともかく、一般名詞の「大福→でえふく」の変化は、いくらなんでも、なんのことかわからなすぎる。しかも、「オラ、わっくわく」並み、いやそれ以上に、まるでツッコミ待ちのようにくどいほど連呼しているのだ。

 もしかしてアニメスタッフ、あるいは本家である野沢雅子本人が、アイデンティティのネタを意識しているのではないだろうか? あるいは、お笑い好きでアニメ好きのファンに対するサービスとして、アイデンティティのネタを盛り込んでいるのでは?

 制作の東映アニメーションに取材依頼をしたが、残念ながら、期日までに返答はいただけなかった。

 しかし、アニメ・声優に詳しいライターは言う。

「実際にアニメスタッフも、野沢先生も、アイデンティティのネタをご存じのようですよ。取材依頼もあるようですし、アイデンティティさんから、ネタについて『公認にしてほしい』という依頼もあると耳にしますが、超人気コンテンツですから、現実的にはなかなかハードルが高く、難しいのではないかと思います」

 実際のところ、アイデンティティのネタを意識しているかどうかの真偽は不明だが、いつかアニメアイデンティティが登場したり、野沢とアイデンティティの共演が見られたりすることがあれば、非常に盛り上がりそうだ。

アイデンティティ・田島