今月10日に開催された、星野源(36)が声優をつとめるアニメ映画『夜は短し恋せよ乙女』の記者会見が、スポーツ紙に一切取り上げられなかったことが話題を呼んでいる。その日各紙が一斉に報じたのは、7月放送のドラマ『コード・ブルードクターヘリ緊急救命~』(フジテレビ系)の新シリーズの放送決定のニュースであった。人気ドラマである本作の7年ぶりの新作に加え、山下智久(31)や新垣結衣(28)などの人気キャストが変わらずに登場するという点でも、確かに注目度が高いニュースだ。

 これに対して当初、このニュースの扱いの裏には「ジャニーズ事務所の圧力が働いたのではないか」という声が浮上していた。しかし、22日発売の『週刊女性』(主婦と生活社)によると、映画の完成披露試写会の場で、映画会社サイドから「スポーツ紙では報じないでほしい」という“お願い”があったという。当映画にはフジテレビも出資しており、10日付の朝刊では『コード・ブルー』を大々的に扱ってほしいという要請が、映画会社にあったと伝えている。

 ドラマ人気の低迷で苦しむフジテレビの現状が起因していたということだ。

「フジテレビは今、月9ドラマを立て直すことに必死です。4月スタートの嵐・相葉雅紀(34)主演の『貴族探偵』、そして続く『コード・ブルー』とジャニーズ俳優や、人気作品を使って猛プッシュしています。一方で星野も、昨年出演した『逃げるは恥だが役に立つ』(TBS系)でヒットを飛ばし勢いに乗っている状態です。フジはそんな旬の星野に話題をとられることを回避したかったのでしょう」(芸能関係者)

 歌手・俳優としてマルチな才能を発揮し、“ポスト・福山雅治(48)”との呼び名も高い星野。そんな星野をさしおいてまで、自局ドラマの売り込みを叫んだフジテレビだが、この対応が功を奏するのだろうか。この対応について一部関係者の間では、「自ら自分たちの首を絞めている」という見解を示している。

■歌手・役者と活躍する星野だからこその影響も

「ドラマ業界と音楽業界の両方で、フジテレビはダメージを受けることになりそうです。両業界をまたにかける旬な星野でさえ、そのような扱いを受けると知った以上、他の事務所も同じような扱いを受けるのではという印象を抱くでしょう。となると今後、両方の番組に出演NGを出す事務所が増えるのではないでしょうか。結果としてますます、キャスティングに苦戦する事態が起きそうです」(前出・芸能関係者)

 月9ドラマでも、ここ最近では役者サイドから出演NGが出続け、キャスティングの時点で難航することが問題になっている。こうした問題が今後、音楽番組でも起きることが予想されそうだ。

 ドラマ同様にキャスティングの難航、ジャニーズアーティスト頼りとなれば、歌番組でも視聴者離れが加速することになるだろう。人気コンテンツを自らの手で壊してしまわないことを願いたいところだ。

文・安藤美琴(あんどう・みこと)※1974年東京都出身。大学在学中にフリーライターとして活動を始め、『東京ガールズジャーナル』(セブン&アイ出版)、『パチンコ攻略の帝王』などに寄稿。現在は女性向け読み物系の記者・編集者として活躍中。
「恋 (通常盤)」より