ニュースサイト『文春オンライン』に掲載された「「逃げ恥」平匡さんは発達障害?ドラマの主人公に多い特徴的な症状とは」と銘打たれた記事がネット上で注目を集めた。

 4月5日配信の『ニコ論壇時評』では、上記の話題を受け、現役漫画家・山田玲司氏が、発達障害アスペルガー症候群の気がある主人公の特性について解説した。

乙君:
 「逃げ恥の平匡さんは、発達障害? ドラマの主人公に多い特徴的な症状とは?」 ということで、ここ数年ドラマ、小説の主人公に発達障害。特にアスペルガー症候群を思わせる人物をよく見かける。

 例えば、名探偵シャーロック・ホームズを現代に蘇らせたと評判になった。英国BBCのドラマ『シャーロック』も、その代表例であるとか、他の例で行くとスタジオジブリ、『風立ちぬ』の主人公の堀越二郎さんも、自分の興味のあることしかやらない。そして、『逃げるは恥だが役に立つ』の平匡さんもそういう特徴があるんじゃないかということですが、どうですか?

山田:
 最初に、ザックリ言ってしまうと、ちょっとイカれた変わり者が、何でもかんでも病名を付けられるというトレンドが、ここ20年ぐらいあるわけ。

 実際のところ、本当に障害なのか病気なのかは、定かではないし、専門家によっては、意見が分かれているんだけど、いわゆるアスペルガーヒーローみたいな人達が活躍する時代というのがあるのよ。

 ザックリと特徴を言うと、ずば抜けた能力がある。これは、合理的な能力。分析力、直感力も含めて、能力は高いんだよね。スペックが高いという。だけど、共感力に欠ける。つまり、自分だけの世界にいて、美意識が高く、どこか人を馬鹿にしている。

山田:
 で、のろまな人を馬鹿にしているっていうようなキャラクターで、これがまさに新作『シャーロック』のカンバーバッチがやった当たり役がまさにそうで、あれは、見ていて気持ちいい位、人の気持ちなんてどうでもいい。だけど、「どこか寂しい」というところが、見事な萌ポイントなんですよね。

 「出来るけど孤独なやつ」というのが、流行っているんだよ。これ、『デスノート』のLなんかも、入ってくると思うし、『相棒』の右京さんも、ちょっと入ってくる。

乙君:
 右京さん完全にアスペルガーですよ。自分の興味のある事件しか調べないですから。

山田:
 そうすると、アスペルガーっていうのはバディー物に向いてるんだよ。クールでバンバンやっていく人の横に、一般的な人情派が付く。だから、『シャーロック』は見事。

 ハイスペな嫌なヤツキャラって現実社会にもやっぱりいて、ホリエモンや、ひろゆきさんなんかも、割りとその属性の中に入るんじゃないかと。だから、「馬鹿が嫌いなんだよね」と、やたら言う。

 こういう、能力が高くて人のことを馬鹿にしていて、上昇志向があるキャラクターって昔だったら、敵キャラでしょ? ムスカでしょ?

乙君:
 ああー! ムスカはそうかもしれない。

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