2017年のアニメ界に大旋風を巻き起こした『けものフレンズ』。

 ニコニコ動画で配信された最終話では、エンディングテーマ【ぼくのフレンド】が流れると、「ありがとうたつき監督」「良い最終回だった」「なんどでも観たくなる」といった内容のコメントが多く寄せられた。

 そんな大盛況のうちに幕を閉じた『けものフレンズ』を現役の漫画家・山田玲司氏が総括。4月5日配信の『ニコ論壇時評』にて、大ヒットの要因を語った。

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大ヒットの理由その1--カバンちゃんは現代の若い男子そのもの--

山田:
 カバンちゃんですよ。男か女かわからないところも良いんだけど。このカバンちゃんというのは、現代の若い男の子そのものなんだろうなと思うのね。

 まず、第一に「自分が何者かわからない」というのは、みんなそうなんだよ。俺って一体何なんだって思っているんだよ。で、行く場所がわからないんだよ。行くところもないんだよ。ただ、荷物はあるんだよ。何入っているんだ。その荷物っていう。

乙君:
 空っぽじゃなかったですっけ?

山田:
 色々出てきますから。一見、空っぽのようで、「俺ってこんなに荷物を抱えていたのか」って。

 で、自分には自信がないみたいな感じ。カバンちゃんの。そういったところに、その抱えている荷物が、フレンズたちに認められるという。俺が抱えているこれは、悪いことじゃないんだみたいな。なんなら、俺小学生の時にゲームしかしてなかったみたいな人の、そのゲームの知識が、役にやったみたいな。

乙君:
 なるほど。

山田:
 そうすると、「あっ、あの時間って無駄じゃなかったんだ」みたいな。抱えている絶望が、過去なりなんなりが、プラスになっていくという点が良くてね。

乙君:
 そうか、だから両方を備えているように僕っ子にしちゃうと言うね。結局最後まで男か女かというのは。

山田:
 あれは、あえて言わなくていいんですよ。何でかというと、ノイズだから。

大ヒットの理由その2--リセットポイントは幼稚園--

山田:
 2つ目はリセットするポイント。どこにリセットポイントを置きたいかと言ったら、日本は幼稚園まで戻りたいと。

乙君:
 男も女もなく。

山田:
 恋愛もなく。

乙君:
 勝ち組、負け組もなく。

山田:
 みんながフレンズというふうに思えてた時が少しだけだけあった。動物園楽しかったなぁみたいな。恋愛を覚える前、序列を覚える前、友達100人できるかもって、思っていた時代。プラス、アニマルセラピーが、乗っかってということになるなみたいな。ノイズカットされた。リセットっていう。

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