「ゆとり教育」とは、「無理のない学習環境で子どもたちが自ら学び、考える力の育成を目指した教育」と定義されている。暗記中心の知識詰め込み教育や過度の受験戦争がいじめや不登校、少年非行を誘発しているという批判を受け、偏差値重視の教育を廃止し、ゆとりのある教育に転換、生きる力を育成する趣旨のもと実施された。

 だが、「ゆとり教育」はすでに終了しており、現在は「脱ゆとり教育」として学習量は増加傾向にある。中国メディアの中青在線はこのほど、日本で実施されていたゆとり教育を紹介するとともに、日本の教育がそこから得た教訓について説明する記事を掲載した。

 記事は日本でゆとり教育が開始されたいきさつやその問題点などについて紹介しているが、ゆとり教育がもたらした変化について、「公立学校で学習量が減少していくなか、将来に不安を感じた保護者は子どもを私立学校に入学させ、その結果として私立学校が潤うことになった」と指摘。また、子どもを塾に通わせ、勉強量を増やすことで安心感を得るようになった親たちもいると論じた。

 さらに、公立学校では将来の受験を見据えた競争力のある学習ができないとして、塾に通わせる保護者が増えたことで、「家庭の負担も増えることになった」と指摘。また、日本の子どもたちの学力が全体的に低下したことも「大きな問題」であり、同時に教育費用の負担増が出生率の低下にもつながった可能性を指摘。

 「国が負担すべき教育の空洞化が家庭の負担に繋がり、最終的に出生率の低下につながったとすれば、それは国の根本を揺るがす問題である」とし、中国は日本の失敗を教訓とすべきであると論じた。

 個性を育てることは非常に重要だが、子供たちの個性を育てるにはやはりふさわしい指導が求められるうえ、個性を認める社会的風潮の醸成も必要だ。学習量を減らせば個性が育つというのは浅はかだったということだ。(編集担当:村山健二)(イメージ写真提供:123RF)

日本の「ゆとり教育」の失敗を教訓とすべし、「国の根本を揺るがす問題」か=中国報道