いくら美人でも口が臭いとすべて台なし……。恋愛だけでなく、ビジネスにも影響を及ぼすかもしれません。口臭は放っておかずに、きちんとケアしていきましょう。そこで今回は、セルフ口臭チェックや口臭の原因、口臭ケアについて、歯科医・長澤彩先生に解説してもらいました。


■もしかしてクサイ!? 自分の口臭をチェック!

まずは、自分の口臭をチェックしてみましょう。

☆舌をチェック

誰でも、舌に白い膜のような「舌苔(ぜったい)」があります。口臭がある人は、舌苔も多い傾向に。舌苔の臭いと口臭は比例すると言われているので、舌苔を布やティッシュでやさしくこすり、臭いを嗅いでみましょう。

☆乾いた唾液をチェック

口臭は、唾液が蒸発した臭いなので、乾いた唾液を嗅いでみましょう。まず、手の甲または、ティッシュなどに唾液を吐いて、乾くのを待ちます。次に、臭いを嗅いで、口臭の強さを確かめます。乾いた唾液は誰でも少しは臭いますが、腐敗臭のような悪臭がするときは注意が必要です。

☆市販の口臭チェッカーでチェック

市販の口臭チェッカーもオススメ。使い方も簡単で、携帯するのに便利です。5段階程度で結果が表示され、レベル2までは周囲に気づかれにくいとされています。しかし、レベル3以上であれば気をつける必要があります。

■もしかして病気かも!? 口臭の原因とは

次に、口臭の原因を「生理的要因」、「外的要因」、「内的要因」、「病的要因」にわけて、くわしくご紹介します

◇【口臭の原因】生理的要因

☆舌苔

舌苔は、舌に付着する白色の細菌塊のこと。起床時や空腹時に唾液が減少すると、口の中の乾燥が細菌を増加させ、悪臭を発生させます。硫黄のような臭いが特徴的です。

☆緊張

唾液の分泌は、自律神経が関係しています。自律神経は、興奮しているときや緊張しているときに優位に働く「交感神経」と、リラックスしているときに優位に働く「副交感神経」の2つ。交感神経は唾液の分泌量を低下させる働きがあるので、緊張をしているときは、口の中が乾いて口臭が強くなります。

◇【口臭の原因】外的要因

☆アルコール

アルコールによる原因は、①アルコールそのものの臭いが口の中に残り、口臭となるパターン、②アルコールが肝臓で分解され、有害物質“アセトアルデヒド”が血流を通じて、肺から呼気となって口臭になるパターンの2つ。また、アルコールの強い利尿作用により、体内の水分が失われ、唾液量が減少し、口の中が乾燥状態になるので、さらに口臭が強くなります。

☆喫煙

タバコの煙に含まれるタールとニコチンも口臭の原因に。タールは「ヤニ」と呼ばれる成分で、喫煙後、舌や歯に付着し、臭いを残します。また、ニコチンは血管収縮作用があり、口腔内の血液の循環が悪くさせます。そのため、唾液の分泌が減ることで乾燥し、口臭が強くなります。

☆臭いの強い食べもの

ニンニクキムチなど、臭いの強い食べものは、口臭の原因になる“悪臭成分”が含まれています。この悪臭成分が胃の壁から吸収され、血液を介して肺まで運ばれると、呼気と一緒に口臭として排出されます。体内に吸収された悪臭成分が、すべて体の外へ排出されるまで口臭が続くので、翌日まで消えないことが多いです。

◇【口臭の原因】内的要因

臭い玉

臭い玉」は、喉の奥にある扁桃のくぼみにできる臭いを発する物体。膿のかたまりで、浸入した細菌と人体の免疫細胞が戦うことでできる死骸からできています。臭い玉を栄養源に口の中の菌が増殖し、口臭の発生原因に。見た目は、米粒ほどで白色。咳やくしゃみをした際にのどから飛び出し、つぶすと強い悪臭を放ちます。

☆口臭恐怖症

口臭検査の結果が異常なしでも、本人が“口臭がある”と強く思い込んでしまい、対人恐怖気味になってしまうことがあります。この状態が続くと、口臭恐怖症という精神の病気につながることも。口臭恐怖症は、臭いに敏感な人に現れるのが特徴で、過去に自分の口臭を指摘された体験がトラウマとなって発症するケースが多いです。

◇【口臭の原因】病的要因

歯周病

口臭の原因が口の中にある場合、歯周病が約8割を占めます。歯周病になると、歯周ポケットがどんどん広がってしまい、ここに口臭の原因である嫌気性菌が住みつきやすくなります。歯周病菌が出す、卵が腐ったような硫黄の臭いが特徴です。

☆虫歯

虫歯菌が原因の臭いは2つ。①虫歯菌が出す酸で歯を溶かす臭いと、②歯垢にいる菌が食べかすを分解するときに出す臭いです。虫歯がどんどん進行していくにつれて、臭いも強くなります。虫歯が進行し、神経まで侵食して神経が死んでしまうと、腐敗臭がすることも。

☆糖尿病

糖尿病は、リンゴの腐ったような甘酸っぱい口臭が特徴です。糖尿病になると、血糖をエネルギーにうまく変えることができなくなり、代わりに脂肪やタンパク質を分解してエネルギーを作り出すようになります。そのときに出る物質が、甘酸っぱい口臭の原因になります。

☆肝臓の病気

肝臓機能の低下が進むと、口臭も強くなります。初期段階は、カビのような臭いで、症状が重くなると、アンモニア臭がします。肝臓は、食事を消化するときに発生するアンモニアを分解する機能がありますが、肝臓の機能が低下すると、うまく分解できなくなります。

☆胃の病気

胃の調子が悪いときや、慢性胃炎などの病気になると、胃の働きが低下して、消化不良を起こします。消化不良になると、胃の中で食べものが消化されずに長時間残ってしまい、異常発酵を起こします。異常発酵した食べものは、強烈な臭いを発生させ、胃の中から血液に乗って、悪臭ガスが運ばれます。そして、呼吸として、口や鼻から一緒に臭いが出てしまいます。

■【原因別】オススメの口臭ケア

◇生理的要因の口臭ケア

☆起床時、歯を磨いたり水を飲む

起床時は、就寝時に唾液が減少したことで、口の中の細菌が増加しています。歯磨きをして、物理的に細菌数を減らしたり、コップ1杯の水を飲んで細菌を洗い流しましょう。また、朝食を摂ることで唾液が分泌され、口臭が減ります。

☆寝る前に歯磨きをする

私たちが寝ている間、細菌は口の中に残った食べかすや舌についた汚れを分解し、口臭の原因を作り出します。その原因となる食べかすや汚れをできるだけ除去するため、寝る前の歯磨きは時間をかけてていねいにしましょう。

☆ガムを噛む

緊張で唾液の分泌が減っているときは、リラックスできるように心がけて、副交感神経を優位にしましょう。応急処置として、口に水分を含んだり、ガムを噛んだりすることで唾液を出し、口の中の乾燥を改善します。また、酸っぱいものを想像して、唾液を出すのもオススメです。

◇外的要因の口臭ケア

☆乳製品を摂取する

飲食をする前に乳製品を摂取すると、乳製品のタンパク質が胃に膜を張り、食べものやアルコールの臭い成分が全身の血液を循環することを防ぎます。なので、食前もしくは食事中に、乳製品を摂取しましょう。

☆喫煙後に歯を磨く

口の中に残ったタールを洗い流すために、口をゆすいだり、歯や舌を磨きましょう。歯と歯の間にタールが残りやすいので、注意してください。また、舌ブラシがないときは、湿らせたティッシュやガーゼで、軽く舌を拭くだけでもちがいます。

ブレスケア

一時的ですが、ブレスケアもオススメ。なぜ一時的かというと、血液を回った臭い成分が、呼吸と一緒に肺から出る臭いをごまかしているだけだからです。翌日まで残るほど強い臭いの場合、ブレスケアの効果はあまり期待できません。

◇内的要因の口臭ケア

☆保湿する

臭い玉をなるべく作らないために、口呼吸をやめましょう。鼻づまりを改善したり、マスクで乾燥しないように、口の中の保湿を心がけてください。また、臭い玉は喉の奥にあり、見えにくいので、自分で無理にとるのは危険です。喉うがいや喉から唾を吐き出すことで、自然にとれるのを待ちましょう。

☆病院に行く

強いストレスや不安感からくる口臭恐怖症の疑いがある人は、まず口臭外来に行きましょう。中には、心療内科を受診するようすすめる場合も。心療内科は、抗不安薬を処方されることが多いですが、まずは、起床時・空腹時は誰でも口臭があり、時間とともに治るなど、「口臭」について正しく知ることが大切です。

◇病的要因の口臭ケア

歯磨き歯周病対策をする

歯周病はセルフケアが重要です。歯周病が悪化しないように、歯と歯の間や歯と歯茎の境目など、細かい部分までしっかり磨きましょう。特に、手首を返さないと磨きにくい利き手側は、磨き残しが多いので気をつけてください。

☆定期検診に行く

3カ月間に1回、歯科医院に定期検診に行きましょう。虫歯チェックや歯石とりをすることで、虫歯の進行や歯周病を予防します。

☆病院に行く

カビ臭い口臭がするときは、肝臓の病気が進行している可能性があります。肝臓はかなり丈夫な臓器なので、肝臓の病気が原因で口臭がするときは危険です。早めに病院を受診してください。

☆ストレスをためない

胃腸はストレスに弱い臓器なので、ストレスをなるべくためないよう心がけてください。頻繁に胃炎を起こすようなら、ピロリ菌の可能性もあるので、一度消化器内科を受診しましょう。

■まとめ

まわりは何も思っていないのに、自分で「口臭がするかも……」と強く思い込んでしまっていることも。まずは、口臭のセルフチェックをしてみましょう。また、口臭が気になる人は、病気の可能性もあるので、病院に足を運んでみましょう。

(監修:長澤彩)

※画像はイメージです

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