家電量販店大手のヨドバシカメラに入ると流れる、「カメラはヨドバシカ~メ~ラ」でおなじみのテーマソング。 このテーマソングの歌詞は、店内で間断なく流れており、店に入るとつい口ずさんでしまうほど印象に残るのだが、全国の主要な店舗においては、その店舗オリジナルの歌詞が使われている。

例えば、新宿西口本店においては、「ま~るい緑の山手線/真ん中徹は中央線新宿西口駅の前/カメラはヨドバシカメラ」が1番の歌詞だが、大阪にあるマルチメディア梅田店においては、「若者集まる梅田には/安くて楽しい店がある/マルチメディアの揃ってる/みんなのヨドバシカメラ」という歌詞である。

オリジナル歌詞が使われているのは、先に挙げた2店舗に加えて、マルチメディア札幌、マルチメディアAkiba(秋葉原)、マルチメディア横浜、マルチメディア京都、マルチメディア博多の合計7店舗ある。今回は、この店舗ごとの歌詞の違いについて考察を進めてみたい。

ちなみに、このヨドバシカメラの歌については、haruhitch氏のYoutubeチャンネル歌詞付きで掲載されており、7店舗の歌詞を一覧でき、とても見やすいので、ぜひこちらをご覧の上、読んでいただけると幸いである。

まず注目したいのが、横浜バージョンにおける「駅から濡れずにお買い物」の歌詞。店舗ごとに共通した歌詞も多い中、この歌詞は横浜店だけのオリジナルである。実際に、横浜店には、横浜駅西口からダイヤモンド地下街を通って直接入ることができ、2005年に開店したときも「雨に濡れない」ことがウリになっていた。

同様に、博多バージョンの「バスでも便利な博多には」という歌詞も博多点だけのオリジナル歌詞であり、博多の玄関口である博多バスターミナルの存在感を示した格好となっている。

また、梅田店、札幌店、博多店には、「駐車もできますよいお店」という歌詞が含まれているが、実際にヨドバシカメラの店舗案内においては、これらの店舗には「大型駐車場完備! 車でも安心してご来店ください」と書き添えられている。博多店の場合、先に紹介した「バスでも便利な博多には」という歌詞もあることから、「自動車でのアクセス最強店舗」といっても過言ではないだろう。

ちなみに、歌詞には含まれていないが、秋葉原店、京都店にも何気に大型駐車場があるので、車でも安心してご来店いただきたい

次に注目したいのが、秋葉原と京都バージョンで使われている「世界中で注目だ」の歌詞。これは秋葉原が世界的なサブカルチャーの中心であり、また京都は伝統的な日本文化の原点であることを踏まえての歌詞であるだろう。

サブカルの中心である秋葉原バージョンには、「萌え」「ツンデレ」「コスプレ」といったキーワードヨドバシカメラの歌詞の中にもふんだんに盛り込まれているように想像しがちだが、実際にはそんなこともなく、それよりはむしろ「筑波エクスプレスも走ってる」「つくばとつながる秋葉原」などの歌詞に見られるように、若干のつくば押しが見られる点が興味深い。京都バージョンにおいても、「金閣」「清水」「舞妓はん」などのキーワードはなく、その一方で「ヨドバシカメラは大きいな」「親切丁寧嬉しいな」といった、来店客の感想的な歌詞が盛り込まれている点が特徴的である。

また、札幌、横浜、梅田、博多点には「世界中で注目だ」の歌詞はないものの、日本政府観光局が発表する都道府県別にみた外国人訪問率(2010年)を見ると、東京が1位(60%)、京都が3位(24%)であるのに対し、梅田店のある大阪は2位(26.1%)であり、横浜店のある神奈川は4位(18%)と健闘している。また、福岡県には特に近隣のアジアからの観光客が非常に多く、北海道には毎年冬に非常にたくさんの外国人観光客が訪れる。秋葉原、京都以外の各店でも「世界中で注目だ」の歌詞が掲載されるよう、ぜひがんばってほしいものである。

最後に、筆者が最も好きなのは秋葉原バージョンなのだが、その理由としては、歌詞中「つくばエクスプレスも走ってる」の「エクスプレス」のところが、若干字余り気味であるために、往年のスキャットマン・ジョンを彷彿とさせる早口になっており、かっこいいためであることをお伝えして、筆を置くこととする。
エクソシスト太郎)

カメラはヨドバシカーメーラ!