フリージャーナリスト詩織さんが昨年、元TBSワシントン局長山口敬之氏にを飲まされ性的暴行を受けたとして警察に被届を提出したが、東京地検はこれを不起訴とした。詩織氏さんはこの処分を不として、検察審議会に審を申し立てるとともに記者会見を開き、被の実態を涙流らに訴えた。本件の影もあり、このところ何かと性的暴行の話題が多いように感じる。山口氏の件は特異な例としても、そもそも日本では海外べて性犯罪が多いのか、少ないのか? あるいは、性犯罪に関する罪は重いのか、軽いのか? 世界の統計データを参考にしながら、現実を見ていこう。

 ここでは、最新データに基づき、性犯罪の発生件数が多いトップ7を紹介することにしたい。以下に挙げる々に、先進国も少なからず含まれることを意外に思われるかもしれないが、もともとこのようなデータは実態が掴みづらく、発展途上よりも先進国のほうが性犯罪の実態を探りやすい、という背景が関係しているかもしれない。では、第7位のから順番に見ていく。

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7位:カナダ

 カナダでは毎年、約46万件もの性的暴行事件が起きているが、報告される割合は1000件のうち33件ほどに過ぎず、さらに実際に罰せられるケースに至っては、わずか29件ほどだ。事件の多くは庭内で発生し、ほとんどの加者は友人や家族となっている。その中には、身体障をもつ女性を生涯にわたって陵辱し続けるという卑劣なケースもあり、すべての性的暴行事件のうち17%は未成年少女が被者だという。なお、北に暮らす女性のうち4人に1人は、その生涯で性的暴行の危険に直面しており、うち11%は性的暴行によって実際に負傷しているとの統計もある。


6位:ニュージーランド

 英国医学誌「The Lancet」の報告によると、ニュージーランドにおける性的暴行の発生率は世界均をはるかに上回っており、被女性の割合は女性人口の約16%に上るという。統計的には、未成年女性の3人に1人、および未成年男子の6人に1人が、16歳までに何らかの性的虐待を受けていることになる。それでも、こので起きる性犯罪のうち警察に報告される割合は、わずか9%だ。つまり、多くの性的暴行は闇に葬られることとなる。たとえ警察に報告されても、有罪判決を受けるのは13%に過ぎない。このような事件があまりにも多く、性的暴行の被に遭っても警察真剣に取り合ってくれないと諦めてしまうことも少なくないようだ。


5位:インド

 インドが上位につけることは多くの読者が予想していた通りかもしれない。多発する性暴力事件は、同が抱える大きな社会問題となっている。データによれば、女性に対する性犯罪の発生件数は年々上昇傾向にあり、被者は18~30歳が多い。また、被者の3分の1は18歳未満、10人に1人は14歳未満という驚きの統計もある。犯人の大半は面識がある人物(隣人、親戚、両親のいずれか)だという。


4位:イングランドウェールズ英国

 同政府による2013年の報告によると、イングランドウェールズでは、毎年約8万5千人にのぼる性犯罪の被者が出て、そのうち女性は86%ほど。しかも、被女性のうち5人に1人が十代後半から性的暴力を経験しているという。13~18歳の若年層を対とした調によると、少女の3分の1、少年6分の1が性的暴力を経験しており、常態化した性的虐待を受けている少女は10万人にのぼるという。英国というと、上品で礼儀正しい「紳士」のイメージが常につきまとうが、実態は大きく異なるようだ。


3位:米国

 もしかしたら米国1位でないことを意外に思う人もいるかもしれない。同ジョージメイソン大学の性的暴行に関するデータによれば、米国女性の3人に1人が生涯のうちに性的虐待を受けた経験を持つという。そのうち約80%25歳までの処女の時期に性的暴行を受けているようだ。

 毎年、(12歳以上の)30万人が性的暴力の被に遭っているが、そのうち70%の人々は警察に報告していない。そしてなんと、強姦を犯した者の98%は1日たりとも刑務所に送られないという実態がある。

 米国人というと、男性でも女性でも積極的に権利をするというイメージが強いが、警察に届け出る人が多くないことは意外に感じられる。歌手マドンナ1970年代ニューヨークに住み始めた頃、見知らぬ男性から性的暴行を受けた経験があるとカミングアウトしている。だが、そのことで警察通報しなかった理由を聞かれると、「穢された事実は変わらない。時間の無駄だし、あまりにも屈辱的だったから」(ハフィントンポスト2015年3月14日)と答えた。これは、いかにもアメリカ人らしい合理的な割り切り方なのかもしれない。


2位スウェーデン

 スウェーデンといえば、世界でもっとも性に開放的なというイメージもあるが、実際には人口あたりの性犯罪件数で世界2位につけるほどの悲惨な状況だ。現在、全スウェーデン女性の4人に1人が性犯罪の被者となっている。そして、その件数も年々増加を見せている。

 また、同では女性の3人に1人が10代で性的暴力を受けた経験を持つ。また、2013年前半には1000人以上の女性がムスリムの移民から性的暴行を受けたと報告している。しかも、そのうち3割ほどは15歳未満の女性だった。

 しかし、不思議な話もある。実は英・レガダム研究所の調によると、スウェーデンは性犯罪が少ないランキングでも10位に入っているのだ。もしかしたら、わずか人口1000万人ほどの同の場合、「強姦」の定義が厳しく、他のでは性犯罪に含まれないケースでも場合によってはカウントすることがあり、それが2位という結果になった要因の一つかもしれない。


1位南アフリカ

 南アフリカは、世界でもっとも人口あたりの性犯罪率が高いとなっており、なんと同に暮らす女性40%以上が生涯のうちに性犯罪の被に遭うという。実際は9件あたり1件ほどしか報告されないが、把握されている数だけでも世界ワースト1の結果となっている。しかも、すべての性犯罪被者のうち、41%が未成年であり、さらに15%は11歳未満の子どもだという。


日本は一応「安全」? でも実態は……

 さて、これらの々とべて、日本における性犯罪被の件数はどのくらい深刻なのだろうか。「NationMaster」というサイトは、人口10万人あたりの性犯罪発生件数によってランキングを発表しているが、対となった119のうち日本105位。諸外よりも性犯罪の被件数が少なく、外国人から較的「安全な」と思われているのも頷ける結果かもしれない。

 しかし、注意しなければならないのは、各における性犯罪の発生件数は、あくまでも報告された件数であり、潜在的な被者がどのくらい存在するかは、それぞれ事情が異なるという点だ。つまり、ランキングは性犯罪の実態を忠実に反映していないかもしれず、数値そのものを素直に受け取れない面があるのだ。

 日本では、女性が性的暴行を受けたことを恥と考え、近親者にも容易に相談できないというケースが多々存在する。ましてや、加者が近親者や会社の上であればなおさらだろう。社会の“しがらみ”が、結果的に被女性に沈黙を強いている可性を否定することはできない。

 そのような社会のあり方の中で、今回のジャーナリスト詩織さんは、名前と顔を隠さずに自身の性的暴行被を世に訴えたという点で、極めてしいケースといえるだろう。事件がどのような結末を迎えるかは別として、今後は「私も詩織さんに続こう」と決意する女性も出てくるかもしれない。

 7月13日からは性犯罪の厳罰化を盛り込んだ刑法が施行され、強姦はこれまで以上に厳罰化されることになる。また、18歳未満少女が親などの近親者から性的暴行を受けた場合も、これまで以上に厳しい罪に処せられる。さらに、初犯でも執行猶予がつかず実刑となる割合も増えると考えられている。今までの刑法があまりにも時代遅れで、男性優位社会の表れだったというもあるが、これを機会に人々が立ち上がり、性犯罪の泣き寝入りを許さない社会へと変化してほしいものだ。

(文=百瀬直也)


イメージ画像:「Thinkstock」より

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