民進党の蓮舫代表は7月18日民進党本部(千代田区永田町)で記者会見を行い、戸籍謄本の一部を公開した。

ネット上では、戸籍謄本の公開は差別を助長することになるという危惧の声が相次いでいた。蓮舫氏は「本来は誰かに迫られて開示するようなものではない」と断りながらも、野党第一党の党首として説明責任を果たしたいと語った。

「戸籍は他者から開示を迫られるものではない」

蓮舫氏は1985年の国籍法改正に伴い、日本国籍を取得した。その際、父親に台湾籍を放棄する手続きをしてもらったという。しかし2016年9月に台湾籍が残っていたことが発覚。改めて台湾籍放棄の手続きをした。

戸籍謄本には家族の個人情報も記載されているため、これまでは公開に応じていなかった。しかし「娘と息子が成人し、家族で話し合って了解が得られた」ため、家族についての記載を白塗りにした上で、戸籍謄本の一部を公開。「国籍選択の宣言日」が2016年10月7日であると記述されている。併せて1987年に期限が切れた台湾のパスポートの一部や、台湾当局による国籍喪失許可証書も公表した。

「公党の代表として、野党第一党の党首として、説明責任を求められる立場にある」ことも公表に踏み切った理由だという。しかし「本来は開示すべきではない」「他者に当てはめたり、前例にしたりすることは認められない」とも強調した。

「戸籍に記載された個人情報をもとに、結婚や就職における差別が助長されてきたという歴史がある。安易に公開を迫られるものでもない、他者から開示を迫られるものでもない」
「戸籍は、差別を助長することがないようにと秘匿性を高めてきたものなので、個人情報を守れる社会を作りたい」

産経新聞記者の質問に激怒する一幕も

民主党時代から、国籍選択制度の見直しは政策として掲げられていた。複数のルーツを持つ人たちから、「両国間を往来することもあるため、重国籍を容認してほしい」「ダブルのアイデンティティを認めてほしい」といった要望があったからだ。今回の件を受けて、民進党内でも国籍法について改めて議論していきたいという。

質疑応答では、産経新聞の記者が「インターネットでは、三重国籍なのではないかと疑われている」と質問。蓮舫氏は「台湾籍と中国籍は同時に保持できるんですか」「ネット上の不確かな情報について、産経新聞さんが確認されているということでいいですか」と怒りを露わにし、「ありえません」と断言した。

また「重国籍を容認している国はいくつもあるが、台湾籍が残っていたことが問題になるような日本をどう思うか」と質問する人もいた。蓮舫氏は現行の国籍法を容認するとしながらも、

「人・モノ・金が国境を越える時代にいまの法律が合わないのであれば、改正をする必要がある。民進党は先陣を切りたい」

と法改正について改めて示唆した。