テレビ不況といわれて久しいですが、その中でも健闘している番組のひとつとして『NHKスペシャル』があります。特に夏に放送される戦争関連のドキュメンタリーは、膨大な資料や現地取材などを重ねた濃厚な作りに定評があります。なぜ『NHKスペシャル』は、あれほど濃厚な番組作りができるのでしょうか。

予算をかけている

まず『NHK』スペシャルが濃厚なのは番組の制作予算をかけているということがあげられるでしょう。局の名前を冠していることからわかる通り、花形番組のため予算をたっぷりとかけているのです。しかしお金をかけたからといっていいものができるわけではありません。NHKは、人にも手間をかけています。

専従スタッフになれる

NHKスペシャル』はスタッフの質にも定評があります。通常は、テレビ局のスタッフは複数の仕事を掛け持ちしており、日々のルーチンワークをこなした上で自分の作りたいものを作るといったことを余儀なくされています。しかし『NHKスペシャル』の場合は一度企画が通れば、そこに専念することができます。半年から一年をかけて番組に集中し、その間は、必要な場合を除けば毎日会社へ行く必要もありません。会社員として給料をもらいながら、こわだった作品を作れるのです。『NHKスペシャル』のディレクターは、クリエイターとして最も恵まれた立場にいる人といえるかもしれません。