「東京モーターショー2017」ホンダブースは、EVシフトへの加速をまざまざと見せつける内容です。一方で、「ホンダらしいクルマ」を改めて考えさせられる出展車両も並びました。

コンセプトカーはEV一色

2輪と4輪ともに展開するホンダが、2017年10月25日(水)より開幕した「東京モーターショー」でお披露目したコンセプトカーはEVが主役。特に4輪車は、3台の全てがEVでした。

今年9月に「ジュネーブモーターショー」で世界初公開され、初代「シビック」を彷彿させる愛らしいスタイルが話題となった「Honda Urban EV Conceptホンダ・アーバン・イーブイ・コンセプト)」が、日本初披露されました。このモデルをベースとしたEVの市販化が宣言されており、2019年にまずは欧州からとされていますが、「東京モーターショー」の会場では、2020年に日本でも発売することが明らかになりました。コンパクトなハッチバックスタイルのEVだけに、ホンダEVの主力として投入されることが考えられ、どのような形で市販化されるかに注目です。

そして、今回の目玉としてワールドプレミアされたのが、同じくEVの次世代スポーツカーHonda Sports EV Conceptホンダ・スポーツ・イーブイ・コンセプト)」です。市場投入を予告している「Honda Urban EV Concept」とプラットフォームを共有するモデルで、さらなる低重心化を図り、より意のままに操ることが出来る、スポーティな走りを実現しているそう。そこには、「EV化は決して、走る楽しさを奪わない」と、ファンに向けたホンダらしいメッセージを感じます。

自動運転とAI、そしてウワサの転ばない(?)バイク!

コンセプトカーのもう1台は、日本初公開となる「Honda NeuV(ホンダ ニューヴィー)」。このユニークなボクシースタイルのコンセプトカーは、自動運転技術とAIによって拡がるモビリティーの可能性を模索するもの。AIが、ドライバーの表情や声の調子からストレス状況を判断して安全運転のサポートを行うほか、ライフスタイルや嗜好を学習して、状況に応じた選択肢の提案を行うなどのコミュニケーションがとれるという、夢みたいなクルマなのです。もちろん、エネルギーは電気です。

2輪車のコンセプトで凄かったのは、“転ばない? 電動バイク”です。「Honda Riding Assist-e」は、ASIMOに代表されるヒューマノイドロボット研究でつちかった、ホンダ独自のバランス制御技術を2輪車に応用。渋滞や信号での発進・停止時など、極低速走行時のバランスに気をつかう場面で、ロボティクス技術を活用したアシスト機構によりマシンのバランスを制御。転倒のリスクを減らし、バイクを気軽に楽しめるようにしたそう。実験車とうたっているので、近い将来の実現が期待されます。

求められる「ホンダらしさ」、その回答は…?

プレスカンファレンスに登壇した、本田技研工業の八郷隆弘代表取締役社長は、「ホンダは、いつの時代でも“役立つ喜び”と“操る喜び”を提供するために技術開発を進め、ユーザーの期待に応えられる商品を今後も届けたい」とコメント。

さらに、軽自動車やミニバンが多くなった昨今、ホンダらしいクルマが少なくなったとのファンやユーザーの声を受け、「シビック」を皮切りにグローバルで強い人気を持つ世界戦略車を積極的に投入していく意向を示しました。

加えて今後、かつて日本でも高い人気を誇ったクロスオーバーSUVCR-V」の再投入を始め、新たなプラグインモデルの「クラリティPHV」、北米で新型が登場した「アコード」の導入などを明らかにしました。

ホンダブースは、2輪と4輪ともに展示される広々としたスペースとなっており、フェイスリフトされた新型「レジェンド」や改良型「オデッセイ」といった市販目前のクルマたち、1億台を突破した「スーパーカブ」のヘリテージ展示、そしてレーシングドライバーの佐藤琢磨選手が日本人初の「インディ500」優勝を飾った「Dallara DW12 26号車」などのモータースポーツ展示など充実した内容となっています。このほかにも、コネクテッド機能が提案する未来の乗りものなどもあり、子供から大人まで夢中にさせることでしょう。

ホンダ 八郷社長と「Honda Sports EV Concept」(2017年10月28日、大音安弘撮影)。