(Nayomiee/iStock/Thinkstock)

愛知県警中村署は13日、認知症の母親(86)に暴行したとして、契約社員の息子(60)を暴行の容疑で逮捕した。母親は約1時間半後、搬送先の病院で死亡が確認された。

■徘徊を止めるために暴力

12日、男性は自宅玄関で母親の頭や下半身を蹴ったり平手打ちしたとみられている。

通行人が「ケンカの声が聞こえる」と警察に通報し、事件が発覚。母親は男性と2人暮らしだが、認知症を患っている影響からひとりで外を徘徊することが多く、今年6月以降で14回ほど警察に保護されていたようだ。

男性は「外出を止めたが、言うことを聞かなかったので殴った」などと供述し、容疑を認めているとのこと。

報道によれば、警察は傷害致死容疑での立件も視野に男性を調べる方針だという。

■「責められない」と男性に同情の声

認知症を患っている母親の外出を止めるために、暴力という手段を選んでしまった男性。当然ながら許されるものではないが、女性向け匿名掲示板『ガールズちゃんねる』では、男性に対する同情の声があがっている。

中には、実際に認知症の身内を介護しているというユーザーからは、認知症介護の壮絶な体験が寄せられた。

・うちも家族総出で祖父を介護したけど汚い話、ウンチを漏らして拭いてあげても「寒いんだから早くしてよ!」なんて怒られると呆けてるとわかってても虚しくなってくるんだよね。とは言っても暴力は振るわなかったけど、想像はつく

・うちの祖母も認知症だから気持ちわかる…祖父が早い時に亡くなったから母とわたしの二人で面倒みてるけど、泣くし喚くし物投げるし暴力するし…こっちが参っちゃう

・辛いよ。介護って認知症なら尚更。責められない。私も認知症の母がいるから

・最悪な孫だけど認知症のじいちゃんばあちゃんが早く逝ってほしいと思ってます。母にも残りの未来もあるし毎日地獄です

■「これからの日本の課題」の声も

また、高齢化が進む日本では今回のような事件も珍しくなくなってくるとの声も。「これからの日本の課題」「明日は我が身」との意見も寄せられた。

・それだけ警察の世話になってても、公的もしくは民間との連携、取ってもらえないんだね。事件を未然に防ぐことに力を入れ欲しい

認知症になると程度にもよるけど会話は無理だし暴力や暴言を吐かれることもあるよ。殺してはいけないけど加害者ばかり責められない。これからの日本の課題じゃない? 

・60代が80代を介護。これからこういう介護増えるね

明日は我が身な事件。まともな人でもおかしくなる

■約2割が介護を経験

しらべぇ編集部が全国20〜60代の男女に「親族の介護経験」について調査したところ、およそ2割が「経験アリ」と回答。

(©ニュースサイトしらべぇ

現状では5人に1人ほどだが、今後よりその割合は増えていくことが予想される。

徘徊を止めるためとはいえ、男性のとった手段は許されてはいけない。しかし、60代男性が介護をするという現状は、個人の問題でなく今後の日本全体の課題であることは間違いないだろう。

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(文/しらべぇ編集部・シマウマ姉さん

【調査概要】 方法:インターネットリサーチ「Qzoo

調査期間:2016年9月23日~2016年9月26日
対象:全国20代~60代の男女1,365名(有効回答数)

徘徊する認知症の母が死亡 暴行容疑で逮捕の60歳息子に同情の声も