今年9月、『クローズアップ現代+』(NHK)が「急増!カフェイン 相次ぐ救急搬送 いま何が」という特集を放送して話題となった。

 今、身の回りにはエナジーリンクや眠気防止の錠剤など、カフェイン入りの商品が増えている。しかし、仕事のため、受験勉強のため……とカフェインを過剰摂取したことによって救急搬送される人が増えているというのだ。なかには、死亡した人もいるという。

 しかし、危険なのはカフェインだけではない。日ごろ何気なく口にしている食品のなかにも、中症状を引き起こす成分が含まれていることがあるのだ。

ぎんなんの食べ過ぎで中死も

 その代表が、今が旬の銀杏ぎんなん)だ。で炒ったり揚げたりしたぎんなんはのつまみに最適で、スーパーマーケットには「揚げぎんなん」も売られているため、この時期に口にする人も多いだろう。

 しかし、ぎんなんは古くから「年齢の数以上食べてはいけない」といわれるように、中毒性の高い食べ物として知られている。

ぎんなんは、『ギントキシン』という、内の抑制性伝達物質であるGABA(ガンマ・アミノ酪)の生成を阻する成分を持っています。そのため、食べ過ぎると奮状態に陥り、鼻血が出たり体が痙攣したりすることがあります」

 そう話すのは、日本大学教授の船山信次氏だ。

過去には、41歳の女性ぎんなんを60個以上食べて救急搬送された例もあります。『年齢の数以上食べてはいけない』という言い伝えは、まさに言い得て妙で正しいのです」(船山氏)

 実際、食べ物が少なかった終戦直後には、子どもいっぱいのぎんなんを食べたことで中死する悲惨な例もあったという。食べ物があふれている現代で同じことが起きる可性は低いが、ぎんなんは少量でも危険性があるため、口にする際は十分注意すべきだという。

ゴボウの危険な保存方法とは?

 さらに身近で危険性が高いのが、ゴボウだ。

 ゴボウそのものに健康被害を及ぼす危険性があるという話は聞いたことがない。ただし、ゴボウ冷蔵庫で保存すると場所を取る上に鮮度が落ちてしまうため、昔から壇などの土の中に埋めて保存する習慣がある。

 船山氏によると、この保存法に大きな“落とし穴”があるという。

ゴボウに危険性があるわけではありません。庭には『チョウセンアサガオ』というナス科の植物が生えることがあります。チョウセンアサガオになると、地上部の部分がなくなって根だけが土中に残るのですが、このチョウセンアサガオの根は見たゴボウにそっくりなのです」(同)

 チョウセンアサガオの根にはアトロピンやスコポラミンという性のある成分が含まれており、口にすると「ろれつが回らなくなる」「うわごとを言う」「記憶が数日間飛んでしまう」などの症状が引き起こされることがあるという。

過去には、チョウセンアサガオゴボウと誤認して食べてしまった結果、中になってしまった例がいくつもあります。また、奇妙な食中毒が発生した事例もあります」(同)

 その事例とは、2006年5月沖縄県で起きた食中毒事件だ。自栽培したナス入りのスパゲッティを食べたところ、食中毒が発生した。調べてみると、そのナスチョウセンアサガオに接木をして栽培したもので、スパゲッティの残品や患者の血液からはアトロピンやスコポラミンが検出されたという。

「つまり、チョウセンアサガオに接木することでナスにも性物質が蓄積されるということが判明したのです。この中事件は、日本初の報告事例として学会誌にも論文が掲載されました」(同)

 このほか、あんずりんごなど、バラ科の果実の種にも危険な成分が含まれている。

「これらの果実の種には『アミグダリン』という成分が含まれており、体内で分解されるとガスを発生します。理論上、大量に摂取すればになり、最悪の場合は死に至ることもあります」(同)

あらゆる食品に中症状を引き起こす危険がある

 身近な食べ物を口にして中になってしまう……そんな事態を防ぐためには、いったいどうすればいいのか。

 ぎんなんの場合、対処法はいたってシンプルだ。言い伝えの通りに年齢の数以上は食べないようにすればいいのである。

「特に、体が小さい子どもは少量でも影を受けやすいので、食べさせるとしてもせいぜい1、2粒に抑えるべきでしょう」(同)

 チョウセンアサガオの根の事例も、ゴボウを土の中に埋めて保存することでゴボウの根と間違えてしまう危険があるわけで、よく注意すれば問題ない。

あんずりんごなどバラ科の果実の種は、一般的にあまり食べることはありませんので、まず心配はないでしょう」(同)

 そして、なにより知っておく必要があるのは、どんな食べ物も食べ過ぎれば健康被害を避けられないということ。船山氏は「あらゆる食べ物は中症状を引き起こす危険性があるということを認識すべき」と警鐘を鳴らす。

「どんな食べ物でも、大量に食べることで中症状を引き起こす可性は否定できません。『多く食らわばの飯さえ』ということわざがあるように、量を抑えてほどほどに食べる分には、これまで私たちが食べてきた食べ物を過度に心配する必要はないと思います」(同)

 健康意識の高まりやダイエットブームによって、世の中には食べることで「痩せられる」「健康になる」とうたう商品があふれている。

 しかし、カフェインの例でもわかるように、そうした宣伝文句をに受けて摂取しすぎれば、場合によっては中死という落とし穴が待っている。どんなものでも「ほどほど」が一番なのだ。
(文=福田広/清談社)

イチョウの葉とぎんなんの実(「Wikipedia」より)