素材の旨みがしっかり感じられる元祖釜飯の実力やいかに?

 先日発表された、新語流行語大賞にノミネートされた「ひふみん」。ご存知、将棋の加藤一二三さんの愛称だ。愛らしいキャラクターで大人気となった加藤さんだが、その故郷の福岡県嘉麻市は数年前より「嘉麻の釜めし」を名物にしており、話題になっている。

 その釜めし、元祖と言われるお店が東京・浅草にある。浅草寺から徒歩数分にある『元祖釜めし 春』だ。大正十五年創業の老舗で、当時の女将さんが関東大震災のときの炊き出しの様子を見てヒントを得たのが始まりなのだとか。さっそく試してみることにした。

 こちらの釜めし、オーダーが入ってから炊き始めるので、アツアツをいただくことができる。私がオーダーしたのは「特上釜めし」(1,690円)。タケノコ、エビ、カニ、鶏、貝柱、しめじシイタケ、イクラがのった、何とも豪華な釜めしだ。

 パカっと蓋を取ると、いい香りがふわりと鼻をなでる。しゃもじで軽くまぜると、さらに食欲をそそるエビやカニの風味豊かな香りが立ち上ってくる。たまらない。ごはんはふっくら、そしてもっちりとしている。ところどころのおこげが香ばしくてさらに旨い。

 釜めしは、お店によっては米を具材を分けて炊くところも多い。しかしこちらは、ひとつひとつの釜で米、魚介、野菜を一緒に炊いているので、その旨みがごはんにしっかりとしみ込んでいる。味付けは醤油、みりん、酒のみで、出汁は使用していないとのこと。しかし十分に旨みが出ている。なるほど素材の味わいを損ねないためにも、余計な出汁は必要ないのだ。

 さて、この元祖釜めしを思いついた創業時の女将さん。関東大震災に被災した際に「釜さえあれば飯は食べられる!」と思ったのだそう。当時はどこの家庭にもあった釜。そこに米やいろいろな具材を入れて炊けば、美味しいごはんを大勢で食べることができる。何気なく食べている釜めしだが、震災復興の現場から着想を得た、サバイバル料理でもあったのだ。

(取材・文◎松本壮平)

SHOP INFO

元祖釜めし 春 外観

店名:元祖釜めし 春

住:東京都台東区浅草1-14-9
TEL:03-3842-1511
営:11:00~20:00
休:不定休

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