11月30日から新国立劇場でR.シュトラウス作曲オペラ「ばらの騎士」が開幕した。美しい若者と伯爵夫人のと陶酔、滑稽とも言える粗暴さを発揮する傍若人な男爵、若い人達のと過ぎゆく時の移ろいを描いた優美で人気作だ。

 18世紀ウィーン貴族社会を舞台に描かれたこのオペラを、演出ミラーは初演1年後の1912年に設定し、第一次大戦を前にした時代の移ろいを背景にすることで、貴族社会黄昏時を描いた。舞台はロココ的な爛さをしたシンプルな演出と、メインの部屋のに必ずレイアウトされた「廊下」が特徴的だ。舞台となっている部屋の外の人物を常に感じさせるこの配置は、部屋の外部のみならず、時代全体の気配を感じさせ、時代が社会に与える陰影と、登場人物達の揺れ動く心理描写を味わい尽くせる舞台となっている。

 現代最高のソプラノのひとりと名高いリカルダ・メルベートが威厳と憂いと、そして極上の気品を兼ね備えた元帥夫人役を演じている。またオクタヴィアン役は、2015年同役で新国立劇場デビューを果たしたステファニー・アタナソフが今回も登場。初々しく瑞々しい「坊や」から、々しく一人前の「若者」へと成長していくその成長や、迫るオックスとの女装姿でのコミカルな立ち回りを演じた。

 ゾフィーには「今最も聴きたい若手歌手のひとり」とされているゴルダ・シュルツが登場。のように煌めくピアニッシモから発せられるその滑らかな歌が、に揺れるオクタヴィアンとの二重唱を甘美な夢の世界へと誘っていた。大きな体で暴虐武人と爛漫を体現し登場人物達を混乱の渦中に引きずり込む、オペラ・ブッファ狂言回しのオックス男爵役はユルゲン・リンが、成り上がりの事業ファニナル役はクレメンス・ウンターライナーが好演。

 新国立劇場開場20周年記念2017/2018シーズンによる「ばらの騎士」は、12月9日まで残すところ2演。文:yokano 写真撮影:寺 / 提供:新国立劇場

概要
オペラ「ばらの騎士」/リヒャルト・シュトラウス
全3幕〈ドイツ語上演/字幕付〉
2017年11月30日12月9日 全4
国立劇場 オペラパレス

新国立劇場、愛と陶酔、傍若無人と粋な策略が交差する「ばらの騎士」開幕