日本語には、語感や意味合いが似ていてまぎらわしいものがある。料理の世界では、「ざる蕎麦」と「もり蕎麦」の違いが分かりにくかったり、「教えて!goo」に寄せられていた質問「料理のネタの区別」にあった「つみれ」と「つくね」の違いなども、分かりにくいのではないか。かくいう筆者もその違いがよくわからなかった。そこで、料理研究家の小山有希さんに、答えを聞いたところ、「ざる蕎麦」と「もり蕎麦」の違いも判明し、かつ「ロースト」と「グリル」、「ソテー」と「ムニエル」の違いも分かったので紹介していこう。

■どちらも語源は調理法

伺う前に考えてみたところ、つみれは鍋に入れるもの、つくねは焼鳥のように串でさして焼いたものでは!?とひらめいた。もしや、それが正解では……?

「残念ながら、正解ではありません。他にも、魚のすり身でつくった団子状のものをつみれ、鶏肉や豚肉などの挽き肉でつくったものをつくねと思っている人も多いようですが、それも違います。実はこの二つの語源を考えればすぐに分かります。つみれは、練った生地をスプーンなどで摘みとり、汁などに入れる『つみいれ(摘み入れ)』が変化した言葉といわれています。一方のつくねは、こねて丸めるという行動をあらわす『つくねる(捏ねる)』に由来しています」(小山さん)

どちらも、調理法をあらわす言葉であった。そう考えると、混同することもなくなりそうだ。

ざる蕎麦ともり蕎麦、ローストとグリル、ソテーとムニエルの違い

蕎麦屋の祖父母を持つ小山さんに「ざる蕎麦」と「もり蕎麦」の違いも聞いてみた。

「もともとは味も違ったようですが、今では容器に盛ってあるのがもり蕎麦、それに刻み海苔がのっているものをざる蕎麦というのが一般的です」(小山さん)

ほかにも混同しがちなものがあるという。

「ローストとグリルも分かりづらいと思います。ローストは『食材をオーブンで蒸し焼き、もしくは薫製にした、間接的に火を通した料理』です。グリルは『フライパンや直火焼きで、直接火を通した魚や肉などの料理』です。もう一つ、ソテーとムニエルも紛らわしいですね。ソテーは『肉や野菜等をフライパンで少量の油で軽く炒める料理やその調理法』で、ムニエルは『下味を付けた魚に小麦粉等をまぶしバターで両面焼いた魚料理やその調理法』です」(小山さん)

そういわれてみると、肉のムニエルは聞いたことがない……。

■「つみれ」と「つくね」の変わり種レシピ

「つみれ」と「つくね」の呼び名の由来を知ったところで、小山さんに変わり種レシピを教えてもらった。

「つみれはエビのすり身に卵や玉ねぎみじん切りなどを混ぜ合わせたタネ(お好みでパクチーを加えてもOK)を、パンの片面に塗って揚げ焼きをしてみてはいかがでしょうか? スイートチリソースを添えれば、タイ風エビトーストのできあがりです。一方のつくねは、豚ひき肉玉ねぎみじん切りを混ぜたタネ(または鶏のつくねのタネ)を餃子の皮で包み、ゆでましょう。トマトソースやお好みのパスタソースをかければ、イタリア料理のラビオリのようなアレンジ料理に仕上がります」(小山さん)

アイデア満点のつみれとつくね料理は、食欲をそそりそうだ。

今回は、料理や食事に関する言葉の違いや成り立ちから思わぬ発見があった。食への関心にもつながれば、食育の一環として、取り入れるのもいいかもしれない。

さて、寒い時期はまだまだ続く。今夜のおかずはアツアツの「つくねラビオリ」にしようかな。

●専門家プロフィール:小山有希
日本料理屋の両親、蕎麦屋の祖父母、和菓子屋の主人の祖父母を持ち、食の大切さを実感。それを伝えるべく、料理研究家として活動中。主な著書に『おなかすっきり!やせて健康になる豆乳ヨーグルト』(日本文芸社)』などがある。

教えて!goo スタッフ(Oshiete Staff)

つみれとつくね、ソテーとムニエル、何が違うの?