高級喫茶店星乃珈琲店」の勢いが止まらない。

 店舗によって価格が異なるが、たとえば東京六本木店ではコーヒー星乃ブレンド」の価格は 600円だ。ドトールコーヒーショップの「ブレンコーヒー」Mサイズの価格は270円なので、2倍以上にもなる。つまり、星乃珈琲店は高級喫茶店の部類に属するといえる。消費者の節約志向は弱まる気配が見えないが、それでも星乃珈琲店は繁盛しているのだ。

 星乃珈琲店の1号店は2011年埼玉県で誕生した。それから急速に店舗を増やし、現在は全に約210店を展開している。

 星乃珈琲店を展開しているのは、ドトール・日レスホールディングスHD)だ。同社はドトールコーヒーショップも展開しており、いわば両店は姉妹関係にある。ドトールで低価格帯市場を狙い、高価格帯市場を担うのが星乃珈琲店となる。両業態を使い分けて喫茶店市場覇権を握ろうというわけだ。

 星乃珈琲店は高級喫茶店だけに、さまざまな点において「質」を重視している。

 まずはメニューがそうだ。メニューの内容は店舗や時期によって異なるが、六本木店ではパスタドリアオムライスカレーといった本格的な料理880〜1000円程度で提供している。一般的なコーヒーチェーン店のなかでは高価格帯の料理提供しているほうだろう。

 ドトール・日レスHDは、パスタ専門店「洋麵屋五右衛門」やオムライス専門店「と私」、カレー店「天馬」など、さまざまなタイプの飲食店を展開している。それらで培ったノウハウを生かすことで、星乃珈琲店でも本格的な料理提供できる。これは、スターバックス コーヒースタバ)やコメダ珈琲店などの競合にはない強みといえるだろう。

 内装の質も高い。シャンリアで照らされた店内は落ち着いた雰囲気を醸し出している。革りのいすは座り心地が良い。仕切りがついたテーブル席もあり、周囲の客を気にすることなく過ごすこともできる。とにかくお落でくつろげるところが特徴だ。

 くつろいで時間を過ごすことができるため長居客が多そうに思えるが、意外にもそういった客は少ない印だ。もちろん、おしゃべりをして多少長い時間を過ごす客はいるが、勉強する客やパソコンを使って仕事する客は決して多くない。客が使用できる電や専用無線LANWi-Fi)を備えた店舗がないためだと考えられる。これは、スタバコメダ珈琲店などの競合と大きく異なる点といえるだろう。

スタバの顧客満足度低下の要因

 ところで近年、スタバの顧客満足度が低下していることが話題となっている。日本生産性本部がサービス産業を対に顧客満足度調を毎年実施しているが、今年6月に発表された17年度の調結果では、カフェ部門においてかつての首位で前年4位のスタバが5位以下の圏外に消えたのだ。

 スタバの顧客満足度が低下しているのは、「価格が高い」「混雑している」「意識高い系の客が多い」という3つのポイントにおいて不満を覚えている客が増えているためだ。このうちの「混雑している」ことと「意識高い系の客が多い」ことに関しては、店内でパソコンを使用する客が多いことが理由のひとつになっている。

 パソコン作業をする人は長居する傾向があるため、そういった人たちが集まることで混雑につながっている。席がくまで待つのを嫌がる人は少なくない。また、スタバパソコンを堂々と広げて仕事する“意識の高い人”に対して嫌悪感を覚える人が少なからずいる。そういった人たちが増えていることで、スタバの顧客満足度が下がっているのだ。

 話を戻すが、星乃珈琲店は全店で電と専用Wi-Fiを備えていないため、長居客がスタバべて少ない。そのため、「混雑している」ことと「意識高い系の客が多い」ことに対して不満を抱いている客が少ないと考えられる。むしろ、そういったことに不満を覚えている人の受け皿になっている面もありそうだ。スタバから星乃珈琲店に流れた人は少なくないだろう。

 こうして星乃珈琲店は急速に店舗網を拡大し成長しているわけだが、下業績は好調だ。17年3〜8月期の星乃珈琲店の直営店売上高は前年同期で5.1増加した。ドトール・日レスHDにおける星乃珈琲店の売上高の構成は10.9にもなり、グループの中でも存在感が高まっている。

 展開するドトール・日レスHDの業績も好調だ。17年3〜8月期の連結決算は、売上高が前年同期5.1増の669億円、本業のけを示す営業利益は7.3増の63億円と増収増益だ。星乃珈琲店が大きく貢献している。

 ドトール・日レスHD星乃珈琲店以外にも高級喫茶店の展開をいくつか新たに始めている。東京池袋にある商業ビル「Esola(エソラ池袋」の4階に6月オープンした新業態店「房」も、そのひとつだ。メニューが充実していて内装がお落な点が星乃珈琲店と似ている。

 メニュー星乃珈琲店と同様に充実していて、やはり高価格帯のものが多い。安として挙げるが、コーヒーブレンド」の値段は540円となっている。内装も同様にお落で、店内がラウンジカウンター席、学校図書館イメージしたコーナーテラス席などに分かれているのが面い。気分や用途に応じて異なる間の席を選ぶことができるのだ。

 房の特徴は、ほかにもうひとつある。喫茶店に併設するかたちで書店を設けていることだ。しかも、それが普通の書店ではない。なんと、本にカバーをかけて表がわからない「シークレットブック」を販売している。つまり、何の本かは買ってみないとわからないのだ。客は表に添えられた紹介文を見て選ぶ。

 シークレットブックコーヒーセットになった「本とコーヒーセット」は1620円だ。もちろん、シークレットブックの中身は注文した後でないとわからない。

 ドトール・日レスHDは近年、房や星乃珈琲店のような高級喫茶店の出店を推し進めている。ライバルスタバとは「価格が高い」という点で共通している。両営の競争がしくなりそうだ。
(文=佐藤/店舗経営コンサルタント

佐藤 店舗経営コンサルタント立教大学社会学部卒。12年間大手アパレル会社に従事。現在株式会社クリエイションコンサルティング代表取締役社長企業研修講師。セミナー講師。店舗ビジネスの専門。集客・売上拡大・人材育成のコンサルティング業務を提供

「星乃珈琲店 HP」より